紹介状の仕業

私は、これからどんな診察が始まるのかと、少し緊張していました。

隣のお父さんを見ると、やはりお父さんも緊張している様子でした。

C病院(最先端の病院)の若い先生は、開口一番、紹介状を見ながら驚くべき言葉を発したのです。

「おはなさんは、ずっと摘出手術(両方の腎臓と尿管と膀胱の全て)を断り続けていらっしゃる様ですが、B病院のT先生は高名な方で、手術の技術も大変素晴らしい方です。このままB病院で診て頂いた方が宜しいと思いますよ。」と、言ったのです。

私もお父さんも耳を疑いました。

まさかそんな言葉が出てくる事など夢にも思っていなかったからです。

私は、「紹介状にそう書いてあるのですか?」と、思わず口にする所でしたが、すんでの所で言葉を飲み込みました。

一呼吸置いて私は、「先生、今日は診察して頂けるのですか?」と、聞いてみました。

すると先生は、「ですから、今まで通りB病院のT先生に診て頂いて下さい。こちらでは診察は致しません。紹介状の返事は、私の方でT先生に連絡しておきます。」と、言いました。

そこまで言われてしまうと、私とお父さんは、その場の雰囲気を察し席を立つしかありませんでした。

そして、診察室のドアを開け、「お世話になりました。」と、言いました。

一言が精一杯でした。

ドアを閉めた私は、勇気を出してT先生に紹介状をお願いした事が、徒労に終わったのを実感したのでした。

と同時に、悲痛な思いが込み上げて来ました。

また、紹介状の中身に関しては、何が書いてあったのか気になり、心残りな感じになってしまいました。

今回のC病院での出来事は、私が微かに抱いていた希望(摘出手術を回避して人工透析にならない事)と夢(膀胱がんとの決別)を打ち砕き、やり切れない気持ちでいっぱいになってしまいました。

 

 


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