⚫フランス国会図書館
設計:ドミニク・ペロー
1994年
行き方:地下鉄6号線ケ・ド・ラ・ガールQuai de la Gare駅徒歩5分


90年代にミッテラン大統領の主導で行われたパリの7つの公共事業「グランプロジェ」の一つです。歴史に残る大規模なコンペで、ドミニク・ペローが設計者に選ばれました。このときペローはまだ36歳(!)
もう竣工から四半世紀が経っています。

ところで、最寄り駅のケ・ド・ラ・ガールQuai de la Gareは「駅で電車に乗るところ」という意味だそうです。何だその駅名は。
国鉄のリヨン駅からも歩いて行けます。リヨン駅に滑り込むTGVの車窓からもよく見えます。


セーヌ川の対岸からは、波打った面白い形の歩行者専用橋から直接アクセスできます。ただこの橋、傾斜を利用して自転車がびゅーん!と駆け抜けていましたが危なくないんでしょうか。


ペローの建物からは、一見普通のガラスカーテンウォールなのに不思議な艶めかしさ、渋さが感じられます。


純化された形態と、つるっとした表情がそう感じさせるのでしょう。


もうひとつの秘密はこれかも。ガラスの表面より外側に何も出ていません。ガラスは構造シールで裏から取り付けられています。
ガラスの端部を押さえる幅1mm程度のステンレスの枠も、ゴンドラレールも、ガラスの面に合わせられています。唯一外側に出ているのは四隅の小さいツメのような金物(たぶん万一のガラスの脱落防止用)のみ。


外部階段(たぶん空調の吸排気口もあるはず)の目隠しのためのメッシュのスクリーンも面合わせ。徹底しています。


サッシのピッチは1.8mでした。内部の木のパネルは回転するようです。


周囲には木の大階段があります。くすんだ色合いがこの建物の雰囲気に合っています。(木を雨ざらしで使うと必然的にこういう色になっちゃうんですが。)


中央には森があります。短手方向でも約80mありました。長手方向は長すぎて見当が付きません。この森に面して閲覧室が配置されています。


森を取り囲む通路は幅20mくらいあり、広場のように感じられるスケールです。


周囲に向いた大階段と、その上の広場的な空間という構成。この日は休館日でしたが、利用している人はちらほら見られました。


大階段の手摺。なんでも直角じゃないと気が済まなかったんでしょうか。
握る部分の寸法は8cm×3cm。あらら、デザイン優先で握れないほど大きい手摺作っちゃって。


・・・と思いましたが、こうやって上から持つように考えたのかもしれません。
これはこれでがっしりと体重を預けられて良いです。
階段の寸法は30cm×16cmでした。


建物自体の美しさもさることながら、広場や大階段という都市を活性化する要素、森に面した良い環境の閲覧室、開いた本をモチーフにした分かりやすいシンボル性、もう100点満点の優等生的な設計です。
もしコールハースの案が選ばれていれば建築史上に残る名作になったという意見もありますが、これだけ非の打ち所のない設計ならそりゃコンペ取れるわ、と納得しました。