ohagiのブログ -3ページ目

うわの空~第2章~

男からこぼれ落ちる涙を察したマスターは、そっとナプキンを差しだした。

男はだまって深々とお辞儀をして受け取り、瞼を押さえた。
そして口を開いた「マスター、ありがとう、ラジオかけてくれる?

マスターはうなづき、ラジオのスイッチをいれた。

雑音混じりでDJの声がきこえてきた

「いや~俺この曲好きなんだよ~冬がきたって感じだよねぇ。
はい、次のお便りいってみよ!三重県にお住まいのペンネーム青福子ちゃん23才。
ペンネーム的にはちょっと放送にのっけていいか、ね、ディレクター?
あ、いい? そう?

じゃ青福子ちゃんのメッセージを読むね。
最近賞味期限偽装が各社で、って嘘嘘そんなことかいてないない。

あ、ディレクターがなんかいってるけどほっといて、ほんとのメッセージ読むね。

ん?時間ないって?おいおい、青福子ちゃん泣いちゃうよ、もぅ誰だ、なかせちゃった子は、あ、俺か。

ごめんごめん、青福子ちゃん。リクエスト曲だけかけるから、許してぇ。

あと30秒?イントロだけでもど~ぞZOOで、懐かしいなぁ、あ、20秒?

じゃいくぞぅ♪ChoChoTrain~
ごめん青福子」

あわただしいラジオは普段なら怪訝に思う男は、このときばかりは微笑んだ。


マスターはひきたてのコーヒー豆に、お湯を注いだ


~つづく~

うわの空~第1章~

男は、バーから見える12月の風景をぼんやり眺めていた
家路をいそぐ人達は、帰る場所があるからこそ、そのはやる気持ちが、
歩幅を長くしているんだなという観察と感想を抱いてた。

そして空になったグラスをマスターに差しだし、オーダーした。
「カルピス、そしてジュークボックスでこの曲かけてくれ」

さしだしたリクエストの紙に書いてあった曲名をみたマスターは
少し微笑んで、ジュークボックスにリクエストをいれた「それから/爆風スランプ」。

男は、めったに人前ではなかないが、このときだけは、泣いた。曲が流れている間、泣いた。
つづく