先週の事。

家族と飲みに出たが、大変な事に遭遇した。


駐車場から居酒屋に向かって歩いていると、国道を挟んだ反対側で80才くらいのジイさんが何か言ってる。

近くにはオレたち以外に誰もいない。


救急車を呼んでもらえんか!

救急車を呼んでくれ!

女性が倒れている。

痛いと唸っている。


国道を横切りジイさんが指差す方向に歩くと、新しいビルのそばに倒れている人が見えた。


近づくと

「痛い、痛い、、、」

と柄のワンピースを着た若い女性が辛そうに横たわっていた。


かなり痛そうだ。


外傷や出血は見えない。


顔は苦痛で歪んでいた。


息子に119番連絡を指示。



「どこが痛い?」



「左足と背中が、、痛い、痛い、痛い」



動いているのは口だけ。

口以外はどこも動いていない。


少しでも身体のどこかを動かせば激しい痛みを感じるからだろう。



「誰かに襲われたの?」



「痛い」と言いながら首を横にした。


この痛がり様は普通ではない………




まさか!



顔を上に向けると

ビルの天辺に続く鉄製の非常用階段が目に入った。


娘に

「この子の荷物があると思う。階段をのぼって見てくれ」


3階の踊り場辺りで

「バッグがあるよ」

と娘の声。


やっぱり。


娘はバッグを持って降りてきた。


重たそうな背負いのバッグだ。


OLはこんなバッグは持ち歩かない。



「高校生?」



うなづいた。



そして、さりげなく聞いてみた。



「飛び降りたの?」



痛いと言いながら苦しそうな顔でうなづいた。


目には薄らと涙が見えた。


涙は痛みの涙か、悲しみの涙か。



この少女に何があったのか。




娘と女房は黙って少女の手を握っていた。


遠くに救急車の音が聞こえた。



救急車到着



少女がタンカに乗せられるのを見守った。



「がんばれよ」

と声をかけることはしなかった。


なぜ?


少女は命を自ら絶とうとしたのだ。


悩んで悩んで悩んで、頑張ってみたけれど頑張れなくなって……


「がんばれ」の声がけは、少女の気持ちを踏みにじるような気がした。





死にたい人がいる……



生きたい人がいる……



少女とオレ……



そんなことを想いながら居酒屋に向かって歩いた。



若葉が目にしみるこの季節、少女は病院のベッドの上で痛みに耐えながら何を思っているだろうか。


今日はこの曲でサラバ。

多感な若い頃を思い出させてくれる。


元気で。



若 葉

作詞:草野正宗

作曲:草野正宗


優しい光に 照らされながら 

あたり前のように歩いてた

扉の向こう 目を凝らしても 

深い霧で何も見えなかった


ずっと続くんだと 思い込んでいたけど

指のすき間から こぼれていった


思い出せる いろんなこと

花咲き誇る頃に 君の笑顔で晴れた 街の空

涼しい風 鳥の歌声 並んで感じていた

つなぐ糸の細さに 気づかぬままで


忘れたことも 忘れるほどの 

無邪気でにぎやかな時ん中

いつもとちがう マジメな君の 

「怖い」ってつぶやきが解んなかった


暖めるための 火を絶やさないように

大事な物まで 燃やすところだった


思い出せる いろんなこと

花咲き誇る頃に 可愛い話ばかり 転がってた

裸足になって かけ出す痛み それさえも心地良く

一人よがりの意味も 知らないフリして


思い出せる すみずみまで

若葉の繁る頃に 予測できない雨に とまどってた

泣きたいほど 懐しいけど ひとまずカギをかけて

少しでも近づくよ バカげた夢に

今君の知らない道を歩き始める