失業者をめぐる冒険

失業者をめぐる冒険

棒グラフを伸ばす力をなくして会社を辞めた一人称主人公の僕。
棒グラフより大切なものを探してとりあえず今日じゃなくて明日から立ち上がろう。
果たしてこんな僕に明日は来るのか!!!

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ハローワークの雇用保険給付係の男は言った。

大手マヨネーズメーカーのキャラクターが年をとって

疲れ果ててしまったような感じの男だ。

「退職の直前の3か月の残業時間が45時間を超えていれば、

自己都合のかたでも会社都合ということになります。」

つまり僕の場合、自己都合退職なので失業保険の給付日数は120日だが、

残業が多ければ倍の240日もらえるようになるということだ。


月に50時間は軽く超えるくらいの残業をしていた僕だったが、

退職の直前のひと月だけ体調を崩して41時間しか残業をしていなかった。

先に知っていればと思ったが、

仕事をしていた当時はそんなことを考える余裕さえなかった。


自己都合。自己決定。自己責任。


「もしそれにこの傷病証明書をお医者さんに書いてもらえば」

3か月の待期期間を待たずに給付されます。」

体はつらかったが、病気に逃げ込むのは嫌だった。

あの時はちょっと重症のふりをしていただけだ。

僕は鬱じゃない。


「おわかりいただけましたか。」

スーツを着たマヨネーズメーカーのキャラクターは

オドオドとした卑屈な感じのする声で言った。

対人援助を行う職業の人によくある話し方なのかもしれない。

何かを過剰に恐れているようなその感じは

このあいだまでの僕のようだなと思った。


自己都合。つまり自分で決めたことじゃないか。

このあいだまでの僕とは違う。

そうだもっと背筋を伸ばさなくちゃ。