1. タクシーから消えた「ガチャン」の音と、現場の劇的変化
かつてタクシーでカードを使うといえば、インプリンタという重厚な器具で「ガチャン」と伝票を切る、手間も時間もかかる儀式でした。
その後磁気ストライプを読み取る機器も導入されましたが、トランクから取り出したり、通信エラーに悩まされたりして、なかなか手間と時間のかかる状態でした。
しかし、GOやUberといったアプリの台頭により、その光景は一変しました。
今や決済は「降りる前に完了」しているのが当たり前。かつては「カードは手数料がかかるから嫌だ」と敬遠していた運転手さんも、今では「現金より楽だ」と歓迎しています。
お釣りを準備する手間と、銀行での両替コストの増加
車内に現金を置かないことによる強盗リスクの低減
終業後の「1円の合わない納金作業」からの解放
テクノロジーは、運転手さんを精神的な拘束から解き放ち、乗客を「ワンメーターで万札を出す気まずさ」から救い出したのです。
2. 「現金オンリー」を貫く一社の事情と、地域のジレンマ
一方で、今なおキャッシュレスを頑なに拒否する小規模な会社も存在します。駅の乗り場でその車に当たると、トラブルになることもしばしば。しかし、彼らを単に「時代遅れ」と切り捨てられない事情も見えてきます。
そうした会社の多くは、交通不便な地域の「最後の足」として、高齢者の通院や買い物を支えています。手数料を払う余裕すらないギリギリの経営の中で、彼らは古い道具を使い、デジタルから取り残された人々を運んでいます。これを安易に淘汰してしまえば、地域の福祉は崩壊しかねません。彼らの存在は、ある意味で現代の「必要悪」とも言えるのです。
3. 行政に期待する「血の通った」ハイブリッド施策
このジレンマを解決するには、市場原理に任せるだけでなく、行政の柔軟な支援が必要です。
「キャッシュレス奨励金」:機器導入だけでなく、手数料の一部を自治体が補助し、会社の負担を「現金管理コスト」と同等まで下げる。
高齢者向けの「初乗り定額化」:地元の足として利用する層には、初乗り料金でスーパーへ行けるような補助を行い、安心を担保する。
こうすることで、遠方からの利用者は「キャッシュレスでスマートに」、地元の人は「わずかな現金で安心して」乗れるようになります。行政がわずかな「鏡」を置くだけで、テクノロジーの光は地域の隅々まで届くはずです。
4. 結び:18%という数字を「覚悟」で受け入れるために
なぜここまでインフラの整備を語るのか。それは、個人の金融リテラシーにも直結するからです。
「タクシー代がないかもしれない」「念のため現金を持っておこう」という漠然とした不安からキャッシングしたお金は、記憶に残らないまま霧散してしまうのが世の常です。
社会がインフラを整え、「不測の事態」を仕組みで減らすことができれば、安易な借り入れの言い訳は消えます。
そうなって初めて、キャッシングは「逃げ道」ではなく、利用者が相応のコストと責任を理解した上での「特別な選択」になります。
インフラが整った社会で、あえて18%という重い数字を背負って利用する。そこには確かな「覚悟」が伴うはずです。そんな、お金と正しく向き合える環境こそが、今の日本に求められているのではないでしょうか。