ご存知、ゴジラのテーマ曲。
この曲、ゴジラそのもののテーマ曲と勘違いしている人があまりも多いんですよね。

この曲は映画「ゴジラ」のテーマ曲であって、ゴジラそのもののテーマ曲ではないと思うのです。

この曲が劇中で使われるのは、東京を蹂躙したゴジラが東京湾に向かって去ろうとしている時に、前年に発足したばかりの航空自衛隊が、押取り刀で駆けつけてくる……そんなシーンで使われます。

この時点で既に、ゴジラが原水爆の申し子であることは判明しているのです。
直撃は受けていないにしても、あれほどのエネルギーに耐えたモンスターであることはわかっている。

にもかかわらず、駆けつけたセイバーはロケット弾攻撃しか出来ないわけです。歯がたつわけがない。
それでも、人々の為にセイバーはゴジラに挑まねばならないのです。

そう、この映画のテーマとは、核爆弾にも匹敵しうる大怪獣に挑む、非力な人間のテーマなんです。
勝てない戦いと承知の上で、それでも敢えて戦いを挑む者のテーマなんでさね。
なので、このテーマ曲はクライマックスの部分で悲壮感が漂うのですね。

伊福部さんが次に音楽を担当するのは「キングコング対ゴジラ」で、この作品以降は人間vsゴジラも描かれるけれど、メインはあくまでも怪獣同士の戦いなので、このテーマ曲は全く使われなくなります。

このテーマ曲が復活するのは「メカゴジラほ逆襲」まで待つことになります。
では、何故この作品でこのテーマが復活したのか?

ゴジラは、メカゴジラ相手に、キングシーサーの助けを借りて辛勝してますが、今作ではゴジラ一体で戦います。
一方メカゴジラには、チタノザウルスという相棒が存在する。

1体1でも勝てるかどうか分からないのに、2対1の戦いになる。で、実際ゴジラは敗れて地中に埋められてしまうんですよね。

すなわち、この作品のゴジラは、勝ち目のない戦いに挑む者なんですね。
だから、このテーマ曲が復活したのです。

「ゴジラ」では、ゴジラという名の大災厄に挑む人間のテーマとして、「メカゴジラの逆襲」では、二大怪獣相手に決死の戦いを挑むゴジラのテーマとして、この曲が使われているのです。

昨夜のゴジラ三昧で、つい、熱くなってしまいました。が、伊福部さんはテーマを決めたら、それを徹底的に貫かれる作曲家ですから、あながち外れた意見ではないと思っています。
( ̄▽ ̄;)