人は高みを目指すものであろうが、このような自己最高記録は更新したくはない。
この数日来、例によって高熱を発して寝たきりでいる。
ほぼ1ヶ月に1回の定期発熱、私のみならず周りの人々も慣れっ子になってしまい、この病臥の屋に訪れる人も稀である。
構ってちゃんにとっては死活問題。
うさぎさん伝説のように、寂しくて寂しくて私の身に何かあったらどうするつもりであるのか、責任を取って欲しいものである。

昨夜はこの地区長の妹たる、とみちゃんが現れて
「何か食べたいものある?」
と問うから
「車えびのお造りと板ウニ、ミョウバン使ってないやつね」
と、答えたら呆れられてそのまま捨て置かれ。
仕方なく台湾バナナを食べて、梨を食べて、桃食べて、早なりのナガノパープル食べようとした所で満腹になって、少し眠ったあとに女性セブンの最新号をパラパラしてみると
『夏バテかと思ったら……それ死を招く兆候です』
と言う記事で脅され
そうこうしていたら、とみちゃんが、梅干しのお粥を作ってきてくれたけれど、お腹いっぱいであまり食べられず
「できたら次はカツオの出汁あんかけのお粥を頼むわ」
と言ったら
「あんたなんか、知らんわ」
と、突き放されて、女性セブンの傍らにあった、岩波文庫のバルビュスの『地獄』をつらつら読んでいたら熱が上がって、深い眠りに落ち
気がつくとやっぱり川の向う岸で美人たちがおいでおいでしているから、川を渡ろうとして、するとやっぱり今回も
「行かないで!」
と、私の手を引く女性が。顔は分からないけれど綺麗な指先が印象的な手で、引かれるままに暗闇に落ちてゆき、気がつくと女性セブンをつかんでベッドにいた。

今現在
体温は38.5度
復帰まで今しばらくかかります
僕の手を引いて下さった方、こっそりで構いませんから名乗り出て下さいね…

早なりのナガノパープル食べて
薬飲んで

ちょっと寝ます


失礼を致します