雨の糸紡ぎ | 小栗カタシ 夜半の茶話ブログ
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夜が明日を渡ろうとする頃
折から降っていた雨が勢いをまし
家並みや樹々の昨日を洗い流してゆく
雨粒が屋根を叩き、樹々を騒がせ
幾筋もの細流となり
或いは水たまりとなって地に留まり
昨日を流してゆく
雨勢はさらに激しい
幾千幾万もの水の糸が重なり紡がれ
窓と闇の間に透明のヴェールを織り成し
この部屋を包み込む
まるで水滴のヴェールに守られているようで
心が安まる
賑やかな雨音とは裏腹に心は静穏としているのだ
ザーッ ポチャン サラサラ
水の機織りは喧しい
幾重にも幾重にも水滴のヴェールを重ねて
夜は更けてゆく
やがて雨が衰え水の糸が細くか細く綻んで
水滴のヴェールが溶けて裂け
窓からまた闇が入り込む
あれはもう昨日
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