小市民の私は、些細な不運ばかりが印象に残ってしまう

○横断歩道を渡ろうとするタイミングで信号が赤になる
○炭酸の飲み物、振ってないのにキャップひねったら吹き出した
○あまり確認せずモノトーンのTシャツ着ようとしたら後ろ前やった
○お風呂に入ったのにお腹痛くなる
○小学生の頃、揚げパンの日に熱を出す
○運動会の練習と本番、好きな子の直前でフォークダンスの曲終わる

些細な不運と同じくらいに小さな幸運は起こっている筈はなのだが、どうも些細な不運の方が印象深い気がする。
そうだ、これはもっともっと謙虚にならねばならない。
些細な不運など忘れて、小さな幸運を胸に刻み、日々を感謝しながら生きて行くべきなのだ。
「神ちゃまごめんなさい、カタシは間違えておりました。この上は心を改めて小さな幸運を見逃さないように生きていきます」
そう私はお星さまに誓ったものだ。

早速、私に小さな幸運が起こった。
ギラギラぬらぬら脂っこく稼ぐ友人のA君が納車されたばかりだと言うポルシェを見せびらかせに来たのだ。
ポルシェ911カレラS。オプション別で2,000万円。
運転しても良いと気前の良い事を言うので、街を一周させて貰った。さすがポルシェ、コーナリングが素晴らしいぜ、ハードブレーキングからアクセルオンの挙動がやっぱり911だ。茶目っ気を出してオーバーレブさしたろかと思ったが、電子制御シフトはそれを許さない、911、隔世の感がある。ただ、いいクルマだが無駄にデカい。
友よ、この時期、集落での林間学校を控えたこの時期に私を訪ねて来てありがとう。
君がアクの強い方法で稼いだ金を私は生きた金にマネーロンダリングしてあげよう。
この状況を例えるならば
○飛んで火に入る夏の虫
○鴨が葱を背負って来る
○渡りに船
○棚から牡丹餅
○藪をつついて蛇を出す
○禍福は糾える縄の如し

「すごいな911、2000万以上やろ」
「おお、まぁな、特別色やしな」
「ところでな、僕が子供食堂手伝っての知ってるやんな、で、この夏やけどな田舎の方でキャンプみたいな事すんねん」
「う、うん…」
「うちの子らめっちゃ楽しみにしてんねや、ポルシェ2000万やて?」
「ど、どうしたらええねん?」
「飲み物とバーベキューのお肉あれば、子供らもっと笑顔になんねん、なっ」
「かなんなぁ、ええわ協力するわ」
「おまえはほんまにええやっちゃ」

素晴らしい友よ、君のおかげで子供たちは笑顔になれる。ジュースとお茶、A5.A4近江牛ロース焼肉用、君の浄財が明日の日本を作るのだ。ありがとう。
そして私は小さな幸運に感謝する。神ちゃま、A君を遣わしてくれてありがとう、お賽銭を今度は奮発します。

二泊三日の林間学校、イベントは盛りだくさんだ。
去年を例にしてみよう

○カタシお兄さんと行く、早朝昆虫採集
○カタシお兄さんと朝もぎトウモロコシ食べよう
○とみえおばちゃんとニワトリの玉子ゲット
○とみえおばちゃんのアフタヌーンハーブティー
○とみえおばちゃんと夏野菜の収穫
○区長おじさん、柴犬ゴローちゃんと行く猿追い
○川原で楽しいバーベキュー
○とみえおばちゃんのあまあま作り教室
○集落のじいちゃん、ばあちゃんと仲良くなろう
○カタシお兄さんと川の生き物を観察しよう
○カタシお兄さんvs区長おじさんのパンスト相撲
○とみえおばちゃんのうつくしい日本語講座
○カタシお兄さんと区長おじさんに夏休みの課題、分からないところを聞いてみよう

《グランドフィナーレ》
○カタシお兄さんと区長おじさんペアのエキセントリカルパレード


半ば集落をあげての歓迎。そして何と言っても私たちを信用してお子さんを預けてくれるのだ。その責任は重い。
このイベントに協賛してくれる友人たちよありがとう。子供たちには、この現場にいない人達も君らを応援している、と伝えよう。
今年のイベントはまだ検討中である。
考えても見れば、私は彼らと関わる事ができて幸せである。実子がないにも拘らず、子供たちと関わるなど、そうそうこのようなチャンスはない。
神ちゃま、仏ちゃまありがとう。
幸運ついでに、これからのあの子らに少しの幸運を与えてほしい。

ポルシェは無理やけど、お賽銭もっと奮発するし、お供えも特製あまあまにする、あの子らに機会を与えて欲しいのや。

たのむわ