こども・子育て政策の強化について、若者や子育て当事者など、様々な方々から意見を伺い、このたび、私を座長とする関係府省会議で試案を作成し総理に提出しました。
2030年代に入るまでのこれから6~7年が少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスという認識の下、未婚化の原因のひとつである若い世代の所得の伸び悩みや非正規化の解消に取り組むとともに、今後3年間の「こども・子育て支援加速化プラン」をまとめました。加速化プランが従来とは次元が異なる点は次の5点です。
第一に「制度のかつてない大幅な拡充」です。児童手当については、全てのこどもの育ちを支える基礎的経済支援として、所得制限を撤廃し、対象を高校卒業まで延長するとともに、手当額の拡充も行うという方向を打ち出しました。出生後の一定期間内に両親ともに育児休業を取得することを促進するため、給付率を現行の67%から8割程度へ引き上げます。手取りでみると、8割相当から10割相当への引上げになります。
第二に「長年の課題の解決」です。75年ぶりとなる保育士の配置基準の改善を行うほか、地方自治体におけるこども医療費助成の取組の普及を踏まえ、国による国民健康保険の減額調整措置を廃止します。
第三に「時代に合わせた発想の転換」です。これまでの仕事と育児の両立支援から「共働き・共育て」の推進へと進化させ、固定的な性別役割分担意識からの脱却をめざします。就労要件を問わず全ての子育て家庭が保育所などを利用できるようにする「こども誰でも通園制度」を創設します。
第四に「新しい取組に着手」します。伴走型支援については、出産・子育て応援交付金とともに、これまで手薄だった0-2歳児への対応として制度化を検討します。出産に関しても、4月からの出産育児一時金の50万円への大幅な引上げにとどまらず、来年4月からの出産費用の見える化、そして、それらを踏まえ、出産費用の保険適用も含めた在り方の検討を進めます。学校給食費の無償化に向けて、給食実施率や保護者負担軽減策等の実態を把握しつつ、課題の整理を行います。教育費については、奨学金制度の拡充に加え、「授業料後払い制度」の創設を打ち出しました。
第五に「地域・社会全体で「こどもまんなか」を実現」します。こども家庭庁の下で「国民運動」を夏頃を目途にスタートさせます。こども・子育てにやさしい社会づくり、育休や柔軟な働き方推進のための職場環境づくりなど、制度や施策にとどまらない、意識改革に取り組みます。
加速化プランに基づく政策は、まずは3年間で集中的に取り組みますが、それで終わりではなく、その実施状況や効果等を検証しつつ、適切な見直しを行っていきます。その際によりどころとなる、こども・子育て政策が目指す将来像として、「こどもと向き合う喜びを最大限に感じるための4原則」を掲げました。こども・子育てについては、ややもすれば「経済的負担」「精神的負担」などネガティブなメッセージが伝えられがちですが、本来、こどもと向き合い、その成長を見守る子育ては、大変クリエイティブな営みであり、そうした「喜び」を最大限に感じることができるようにすること、これが将来像の目指すところです。
第一に、こどもを産み、育てることを経済的理由であきらめない。第二に、身近な場所でサポートを受けながらこどもを育てることができる。第三に、どのような状況でもこどもが健やかに育つという安心がある。第四に、こどもを育てながら、キャリアや趣味など人生の幅を狭めることなく、夢を追いかけられる。こうした社会を実現するため、「加速化プラン」に基づく施策を着実に進めながら、PDCAを推進してまいります。
今後は岸田総理の下で更に議論を深め、 6月の骨太方針までに、将来的なこども予算倍増に向けた大枠を提示することにしています。引き続き、担当大臣として全力を尽くします。