外交部会の台湾政策検討プロジェクトチームの提言を総理に提出しました。自民党として正面から台湾を取り上げた初めての提言となります。また、(私は党首討論解説の仕事があり、残念ながら出席できませんでしたが)本日、茂木外務大臣へも提言が提出されました。提言を構成する外交、経済、安全保障のうち、私は経済パートを担当しました。以下で、若干解説を加えたいと思います。

 台湾はアジア第6位、世界第21位の経済大国です。本提言では、その台湾を経済安全保障およびDFFT(信頼ある自由なデータ流通)のパートナーとして位置付けるべきだと明言しています。とりわけ、経済安全保障の中核をなす半導体に関して、世界の過半数を超えるシェアを有するTSMCをはじめとする台湾企業との連携は欠かせません。あらゆるデバイスは半導体抜きには動きません。世界的な半導体の供給不足により自動車等の生産に支障が生じてしまったのは記憶に新しいと思います。情報通信機器等の安全保障に直結するデバイスも例外ではありません。

 わが国の半導体産業はかつては世界一でしたが、今では世界シェア10%まで落ち込んでいます(1988年は約50%)。このシェアを取り戻そうとするのはあまり現実的ではありません。米国バイデン政権は半導体産業へ総額500億ドル(約5兆5千億円)の補助金を投じることを表明していますが、それでも世界シェアの2割にも到達しないのではないかとみられています。

 むしろ半導体製造装置や半導体素材等の世界シェアを握っているわが国と設計(ファブレス)の分野で優位に立つ米国とファウンドリ(受託生産会社)分野世界一の台湾が同じ価値観を共有する国として共同でサプライチェーンを構築していくことが重要だと考えています。先のTSMCが本年2月に茨城県つくば市に新たな研究開発拠点を設けることを決定しました。その流れを一層加速させて、生産拠点もわが国に移すべく日台両政府の連携を深めるべきです(TSMC単体で年間の投資額が3兆円にものぼるので、その経済効果も計り知れません)。

 このほか経済分野では、提言提出後に実行に移された日本が確保するワクチンの台湾への供与、CPTPPへの台湾加盟や日台FTA・EPAの検討、東日本大震災に伴う台湾の輸入規制の解除や台湾新幹線の新車購入の支援など、いずれも日台経済の連携強化に重要な意味を持つ項目を提言いたしました。