一昨年の6月11日に滋賀大の須江副学長と一橋大学の沼上副学長と柴山文科大臣(当時)にデータサイエンティスト育成の提言を行いました。①統計学の教員の速成、②統計学部のモデル創設、③統計専門職大学院の創設です。
 それから2年が経ち、文科省から改めて進捗状況を伺いました。①の統計学の教員の速成については、本年度の予算で初めて「統計エキスパート人材育成プロジェクト」(予算額:313百万円)が始まり、10年間で少なくとも約500名程度の統計エクスパートを育成する計画が立てられています。②の統計学部のモデル創設については、23年度までに群馬大学、立正大学、南山大学、大阪工業大学、中央大学、一橋大学のデータサイエンス学部の開学が予定されており、我が国の統計学部を有する大学は5→11に増加します。
 しかしながら、統計学部を有する大学は中国が327、米国が177、韓国が56、英国が46とそれでも我が国は圧倒的に不足していますし、③の統計専門職大学院の創設は未だ実現していません。  我が国の賃金を上げるためには労働生産性の向上が必須といわれていますが、データ駆動型経済の中でデータサイエンティストは最も付加価値の高い職業のひとつと言われており、実際に給与も他職種と比べて高くなっています。そういう意味でも、少しでも多くの人が統計、データサイエンスのスキルを身につける機会を増やしていかなければなりません。文部科学省の担当官にはデータサイエンス学部の更なる増設と社会人大学院の新設に向けて最大限努力するよう、重ねてお願いしました。
 提言提出から2年、政府が着実に政策を進めてくれていることを嬉しく思うと同時に、やはり国会議員の側からも提言のフォローアップを欠かさずに後押し(プレッシャー?)をかけることの重要性を感じました。