昨日の自民党金融調査会では、金融グループにおける銀行と証券の情報共有規制などのいわゆるファイアーウォール(FW)規制について議論しました。本件は昨夏の金融調査会の提言「わが国金融機関が海外同業他社と同じ競争条件で切磋琢磨しわが国金融資本市場の魅力を高められるよう、(中略)国内顧客を含めたファイアーウォール規制の必要性についても公正な競争環境に留意しつつ検討する」という昨夏の金融調査会の提言を踏まえて政府に作業を進めてもらっているものです。
 本件は銀行系証券と独立系証券の対立構造に矮小化されがちですが、本来の目的は、クロスボーダーの取引が太宗を占める中で、わが国特有の規制を見直しグローバルスタンダードに近づけていくことです。同時に、金融サービスを提供する側の目線ではなく、利用者である事業法人にとってよりきめ細かいサービスを受けられるかどうかとの目線が重要です。
 今回のヒアリングには三菱UFJの三毛会長と野村証券の飯山副社長にご意見をいただきましたが、両者とも「現行の規制は必ずしも必要ないが、利益相反や優越的地位の濫用を防止する実効性のある仕組みは必要」との認識は一致しておりました。金融庁には〝Need to know〟原則等の国外制度を参考にし事業法人の意見も丁寧に聞きながら、骨太の制度改正になっていくことを期待します。
 もうひとつ、中央銀行デジタル通貨(CBDC)です。こちらもまた我々の提言を受け、日銀からCBDCの概念実証(フェーズ1)を今月から1年間行うことや、官民横断の連絡協議会を設置したことのほか、中国・欧米の最新状況に関する報告がありました。議論はフェーズ1のやり方、具体的には、トークン型で行うか口座型か、口座型で行うにしても銀行の台帳を通すか日銀の台帳に直接記帳する方法か、これだけで3パターンは考えられます。それぞれ一長一短ありますが、どの方法を選択するかは決済システムの中でCBDCをどのように位置付けるかにも関わってくる問題です。一年間の概念実証の結果を踏まえ、CBDCがいかにあるべきかを引き続き議論していきます。
(写真)三菱UFJフィナンシャルグループの三毛会長(左)、野村證券の飯山副社長(右)にそれぞれの立場からご意見を頂戴しました。