通常国会も中盤に差し掛かりましたが、この間も、自民党金融調査会や財務金融部会を週2〜3回のペースで開催し、様々な角度から金融の諸課題を議論しています。金融調査会の地域金融に関する小委員会では、広島銀行やふくおかFGなどをお招きし地銀の経営基盤強化を議論し、財務金融部会の国際金融に関するPTでは、過去の金融危機対応と現在のセーフティネットについて植田健一東大教授からヒアリングを行いました。
そして、金融調査会の新国際秩序戦略PTでは、スタートアップ企業への資金供給に関する昨夏の金融調査会の提言を受けた金融庁の検討状況を報告してもらいました。提言では、①一定の投資経験等を持つ個人投資家にはプロ向けの取引が可能となるよう、要件の弾力化等を検討すること、②株式投資型クラウドファンディング制度における一定のプロ投資家にかかる投資額上限のあり方等の見直しを検討することにより、投資家から継続的に資金を集め成長していくための私募市場を拡大し、いわゆる「上場ゴール」の我が国市場の弊害をなくしていくことを求めています。(NIKKEI Financial 『「上場ゴールの旧弊」打破 首相構想で浮かんだ秘策』で触れられています。https://financial.nikkei.com/article/DGXMZO65896050V01C20A1000000)
これに対し、金融庁から、①について、特定投資家について投資上限額(50万円以下)を緩和する、発行可能総額(1億円未満)の算定にあたりベンチャーキャピタル等を除外する等の案が、②については、実証事業の結果を踏まえ特定投資家の要件を見直していくことが示されました。このほか、日本証券業協会の株主コミュニティ制度の拡充(昨年12月実施)や東証ベンチャーファンド市場の規則見直しの検討も報告されました。
もっとも、日米の非上場株式等による投資額は経済規模以上に差があります(米国が約98兆円に対し日本は1兆円強)。これには、有望な地方の研究開発型ベンチャーに資金が回っていないのではないか、機関投資家からの資金を呼び込むためのファンドの運営体制・ガバナンスの強化や運用人材の育成が不十分ではないか、レイターステージで国内外機関投資家と有望な投資先との仲介機能を証券会社がより果せるのではないかとの課題も指摘されています。この点の改善策を今後検討していきたいと思います。