本日の政調審議会・総務会で「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案」、「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案」を説明し了承を得ることができました。今後は閣議決定を経て、今国会に提出されることになります。概要は以下の通りです。

 

 

 

取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案」

 この法律案は、取引デジタルプラットフォームにおいて発生している、危険商品などが流通したり、販売事業者が特定できず紛争解決が困難となるなどの問題に対応するため、取引の適正化などに関し取引デジタルプラットフォーム提供者の協力を確保し、消費者利益の保護を図るものです。

 具体的には、第一に、取引デジタルプラットフォームを利用して行われる通信販売取引の適正化や紛争の解決の促進に資するための措置の実施と、実施した措置の概要などの開示についての【努力義務】を定めています。また、これらの措置の実施に資するものとして指針を策定することにしています。

 第二に、【危険商品】などが出品され、かつ、販売業者が特定不能などの場合に、内閣総理大臣が、【出品削除】などを要請できる仕組みについて定めています。

 第三に、消費者が損害賠償請求などを行う場合に必要な範囲で、取引デジタルプラットフォーム提供者に対して、【販売業者の情報の開示を請求できる】こととしています。

 第四に、国、取引デジタルプラットフォーム提供者の業界団体、消費者団体などにより構成される【官民協議会】や、消費者などによる申出制度を定めています。

 

 

 

消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案」

 まず特定商取引法の改正により、通販の【詐欺的な定期購入商法対策】として、定期購入でないと誤認させる表示等に対する直罰化、このような表示で誤認して申込みをした場合に申込みの取消しを認める制度の創設、通信販売の契約の解除の妨害に当たる行為の禁止などの措置を講じます。第二に、新型コロナウイルス感染症を受けて在宅する機会の多くなった消費者を狙った【送り付け商法】への対策として、売買契約に基づかないで送付された商品について、送付した事業者が返還請求できないようにするなどの規定を整備します。第三に、(預託法も同様ですが)経済社会のデジタル化の中で、消費者の利便性の向上などにも資するために、クーリング・オフの通知について、電子メールなどの【電磁的方法】で行うことを可能にするとともに、事業者が交付しなければならない契約書面等について、消費者の承諾を得て、電磁的方法で行うことを可能にします。

 

 

 次は預託法の改正です。過去に大規模な消費者被害を発生させた販売を伴う預託等取引を【原則禁止】とします。加えて、現行の預託法は、その規制の対象を政令で限定列挙することとしておりますが、これを改め、全ての物品等を規制の対象とします。

 最後に、消費者裁判手続特例法については、被害回復裁判に資するため、特定適格消費者団体に対し、特定商取引法及び預託法の行政処分に関して作成した書類の提供を可能にするものです。