自民党消費者問題調査会で消費者庁から特定商取引法、預託法、デジタルプラットフォーマー取引に関する新法について説明を受けました。

 特定商取引法の改正は、①詐欺的な定期購入商法(「初回無料」や「お試し」と謳いながら実は定期購読が条件であるケースやいつでも解約可能としながら実際には細かな解約条件があるケース等)の厳罰化や②送り付け商法(注文していない商品を一方的に送り付け、 連絡や返送が無ければ勝手に購入意思ありとみなす商法)を主な内容としています。預託法改正は販売預託(物品を預かり、レンタルに出して配当金を支払うと称して、貴金属等の物品を販売する商法)の原則禁止を主な内容としています。いずれも社会問題化している商法であり、早急に法的な手当てが必要です。 

 また、デジタルプラットフォーマー新法は、近年、急増しているネット取引に関して消費者保護の観点から規律する初めての法律です。販売事業者とのトラブルで先方と連絡がつかない、オンラインモールサイトの運営者に苦情を申し出ても取り合ってもらえない、などの消費者からの相談が増えています。こうした問題を解消する環境整備の方針を政府が策定し、プラットフォーマーに義務を課すことを検討しています。 

 努力義務になったことを(別添の新聞記事にもあるとおり)「後退した」と捉える向きもあります。消費者法はもともと大きな力を有する事業者(売主)から弱い立場にある消費者 (買主)を保護するためのものです。しかし、デジタルプラットフォームの普及により、消費者も売主になることが当たり前になり(いわゆる CtoC 取引)、従来の消費者法制の枠組みでは捉えきれなくなりました。今回、法律の対象から CtoC が外れたのはそういう理由です。CtoC 取引についても、消費者庁に対する申出制度や官民協議会での情報共有を通じて実質的に消費者保護は強化されると思いますが、CtoC 取引の更なる拡大や事業主とみなしうる利用者の増加を踏まえると、BtoC 取引を念頭に置いた現行の消費者法の枠組みを腰を据えて今後考え直していかなければなりません。 

 もっとも、今回の新法は大きな一歩になるのは間違いありません。具体的な措置を定める政府方針はプラットフォーマーには大きなプレッシャーになりますし、政府による危険商品等の削除要請や販売事業者に対する消費者の情報開示請求権を明記したことでプラットフォーマーが悪質な販売事業者を取り締まる取組を加速させることにもなります。特定商取引法および預託法と合わせて、今国会で一刻も早く成立させられるよう頑張ります。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG203L50Q1A120C2000000トラブル対応、企業に努力義務 ネット取引巡る新法案アマゾンや楽天などインターネットで取引の場を提供する「プラットフォーマー」を、消費者保護の観点から規制する消費者庁の新法案について、トラブルがあった際の苦情に対する調査や、出品者と消費者との連絡手段確保などの体制整備を「企業の努力義務」とする方向で調整していることが20日、分かった。昨年12月に自民党の消費者問題調査会で公表された骨子では、トラブル時の取り…リンクwww.nikkei.com

 

 

※日経記事にも消費者問題調査会の事務局長として、私のコメントが使われています。