国会議員ですが政治「学」も好きな私にとって、自民党の中でかねてより所属したいと思っていた組織が国会対策委員会と税制調査会です。皆様には馴染みの薄い名前かもしれませんが、双方とも戦後の55年体制の中で独自の発展を遂げ、政治過程において極めて重要な役割を果たしてきた組織です。
 
●国会対策委員会
 我が国では国会の開催日程は議会で決めることになっています。政府にはその権限がありませんが、政府は予算を通し法律を通す責務があります。議員立法が全体に占める割合はごく僅かです。戦後日本の政治はこの権限と責任のねじれを解消する法的仕組みが担保されないままスタートしましたが、国会対策委員会がその運用において工夫を加えてその隙間を埋めてきました。これが、いわゆる「国対」政治と呼ばれているものです。これには賛否両論あるのも確かですが、「国対」の仕組みが発展しなければ、戦後の国会において予算や法律がこれほどまでスムーズに成立してこなかったのは間違いありません。
 私はこの2年間、国会対策委員会の副委員長等として働いてきました。国会の細かなルールの殆どは慣例で定まっています。しかし、アクシデントが常に起こるのが国会ですから、慣例に無い異例の事態に対して与野党の対立がありながらも落としどころを探り、綱渡りの日程の中で国会を動かし、与党として一本でも多くの法案を通していくことが与党の国対には求められます。こうした政治技術の粋が詰まっているのが国対の仕事だと実感しています。時代に合わせた国会改革は必要だと思いますが、ここで得た政治技術はどこでも必要とされるのではないかと思いますし、私自身もこの経験を今後の糧にしていきます。
 
●税制調査会
 税制調査会も我が国固有の政治プロセスで重要な役割を担います。「代表なくして課税なし」との言葉があるように、もともと税制は政府ではなく議会が主導して決めるものとの認識は洋の東西問わずあります。また、55年体制の下で与党(自民党)では、党所属の議員に国会で党議拘束をかける代わりに、予算や法案の国会提出前に自民党の部会等で審査する「事前審査制」が定着しました。この「事前審査制」の仕組みの中で、最も政治主導を体現してきたのが税制調査会です。税調のドンと言われた山中貞則会長(当時)が政府税調のことを「軽視ではない。無視しておる」と言ったのは有名な話です。もちろん税制調査会がいたずらに権力を振るっているわけではありません。税制調査会に所属する税という極めて緻密な世界で、理論、過去の経緯や、関係する諸税間の公平性など様々な事情を考慮して、皆が納得する結論を下す必要がありますから、他の政策決定の場以上に深い知識と経験が求められます。実際に先述の山中会長は大蔵官僚の誰よりも税を理解していたと言われています。
 前置きが長くなりましたが、今秋より、税制調査会の幹事を拝命しました。毎年、1、2名の若手議員が幹事として選ばれ、そこで研鑽を積みます。国会対策委員会も副委員長の前にオブザーバーとして若手は勉強することになっています。両者とも、それだけ特別な知識と経験が求められる場と言えるのではないでしょうか。税制調査会でも皆様のお役に立てるよう、一生懸命に頑張ります。