先般の自民党公益通報者保護制度に関するPT提言について、共同通信社の記事に誤解を与える表現が見受けられるので、以下、事実を指摘いたします。
「通報者に不利益な取り扱いをした企業に対する罰則を明言しないなど内閣府消費者委員会の専門調査会の報告書に比べて後退した内容」
→そもそも専門調査会でも企業を「罰則」の対象とすることは求めていません。
→むしろ専門調査会では「今後必要に応じて検討」とされていた守秘義務について「罰則」の対象とすることで、不利益取扱いの契機を防止するなど、専門調査会の報告書より踏み込んだ内容になっています。
→なお、現行法には規定されていない企業の体制整備義務を課し、義務違反の企業に対する「行政措置」を導入することも提言しています。
→専門調査会の報告書が求める「勧告や企業名の公表」も当PTで検討。しかしながら、地方の労働行政機関でも個別労働紛争に対するあっせんや助言指導は行なっているものの、公益通報者保護法違反の事実認定まではできず、現下の行政体制では実行不可能とやむなく判断しました。
→この点については、今後の制度改正を見据えて将来の行政体制の強化を提言したほか、消費者庁、厚生労働省、法テラス等の連携によって現在可能な限りの通報者の負担軽減と不利益取り扱いの救済を求めています。
→以上のように、現行の公益通報者保護法と比べて通報者を守る企業の義務は格段に強化されました。産業界から一部慎重な意見がありましたが、説得や調整を続け最終的にご理解いただきました。
→したがいまして、同記事を引用してTwitter等で展開されている「企業やましてや政府を守り通報者を危険にさらす」との議論は全く事実と異なることをご理解いただきたく思います。長文になりましたが、今後法改正が実現した際、事実と異なるこの種の議論を信じた従業員が通報を躊躇することのないよう、あえて指摘させていただきました。
 
【共同通信】