公立病院の経営に関して意見交換を行うため、富山県の県立中央病院と福井県の県立病院を訪問しました。総務省の調査によると、約6割の公立病院が赤字になっています。公立病院は救急医療、へき地医療、高度先進医療など地域医療には欠かせない役割を担っています。これらの業務は黒字化するのが難しい業務ではありますが、あまりにも赤字が常態化すると自治体の財政にも負の影響が及びます。そうした中で、公立病院には他の医療機関との再編・ネットワーク化、医療経営人材の確保や経営形態の見直し等の改革が求められています。
私が訪れた富山県立中央病院は8年連続の黒字、福井県立病院は陽子線がん治療センター(後述)等を除くと黒字決算となっており、公立病院におけるいわゆる「優等生」です。経営面だけでなく、ドクターヘリの運行、ロボット・ハイブリット手術、陽子線がん治療などの地域医療や先端医療にも公立病院として積極的に投資している点も特徴です。
今回の視察を経て、上述した経営改革の必要性を感じる一方で、公立病院自体が過剰投資にならないための県境を跨いだ(特に先端医療分野の)医療連携や、過度な経営意識が民業圧迫にならないための医療人材供給センターとしての役割強化なども必要と感じました。
※陽子線がん治療
陽子線がん治療はX線がん治療よりも患部に絞って照射することが可能なため、効果も大きく体への負担も少ないと言われています。福井県立病院では更にCTを手術室内に備え付けることでより正確に患部に照射することを可能にしました。世界的にも陽子線がん治療がスタンダードになりつつあるようです。課題は未だわが国で保険対象となっていないことです(自己負担だと安くても250万円程度かかるようです)。
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最新鋭の手術室(富山)
 
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ドクターヘリのコントロール室(富山)
 
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陽子線がん治療センター(福井)
 
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手術室の裏。装置が大がかりで発電所のようです。(福井)