8月30、31日に広島県福山市、岡山県倉敷市、鳥取県米子市を視察しました(視察日程は下表)。人口減少下で鍵となる、(1)自治体の広域連携、(2)地域経済の好循環、(3)若者の地方移住に積極的に取り組んでいる自治体を今回は視察しました。
(1)自治体の広域連携
人口減少下では全ての自治体がフルスペックの行政サービスを提供することは不可能です。そこで、地域で比較的規模の大きい中核市が周辺自治体の行政サービス(特に専門性の高いもの)を纏めて担う仕組みが必要となります。総務省は「連携中枢都市圏構想」の下でこうした取り組みを実施している中核市を中心に支援しています。
広島県福山市では、市内に発達支援センターを設立し、周辺自治体(備後圏域)も含めて就学前の発達障害の診断や生活訓練支援を行っているほか、ビジネス支援センター(Fuku-Biz)を立ち上げて起業支援も周辺自治体に提供しています。他方、岡山県倉敷市では、高梁川流域の自治体と一緒に、外国人観光客等の呼び込みを行っています。美観地区の江戸時代の街並み再現は大変素晴らしいものでした。
(2)地域経済の好循環
滋賀県で地方創生の交付金を使った事業の委託先のうち、過半が都市部の業者だったとの報道がありました。地域振興政策で国や地方公共団体が資金援助してもそれが域内にプールされず、都市部に吸収されてしまう問題は以前からも指摘されていました。
鳥取県米子市の「分散型エネルギーインフラプロジェクト」は米子市と地元企業数社で設立した地元の企業が地元の太陽光発電や廃棄物発電を地元の公共施設、企業や一般家庭に売電する仕組みです。再生可能エネルギーの普及やエネルギーの地産地消と同時に、それによって得た利益を地域に還元できる優れた取り組みです。総務省は米子市で得た知見が全国に横展開されるよう取り組みを進めているところです。
(3)若者の地方移住
平成21年に総務省の「地域おこし協力隊」という事業がスタートしました。若者が3年の任期で地方に住民票を移して生活し、地域活性化につなげる取り組みです。当初は税金を使って若者を地方に暮らさせるだけとの批判もありましたが、現在は4000人を超える若者が地方で活躍し、協力隊の約6割が任期後もその地域に定住し、約2割がその地域で新しい事業を始めるなど、若者不足で悩む地域にとって大きな意味を持つ取り組みになりました。女性が多いのも特徴です。私も鳥取県米子市で5名の協力隊員と意見交換しましたが、いずれも高い目的意識を持って地域おこしに励んでいました。総務省では、新たに「サポートデスク」、「起業支援研修」や「ビジネスコンテスト」を開始し、隊員を支援していますが、頂いた意見を基に更なる改善を図っていきたいと思います。

◆8月30日(水)
08:40 羽田空港 発
10:00 広島空港 着
13:10 こども発達支援センター視察
14:00 福山ビジネスサポートセンターFuku-Biz視察
15:18 福山駅 発
15:58 倉敷駅 着
16:30 倉敷市内の美観地区における連携中枢都市圏の取組
      美観地区のまちづくりを視察
倉敷市内 泊

◆8月31日(木)
08:16 倉敷駅 発
10:15 米子駅 着
11:00 地域おこし協力隊の活動報告・意見交換
13:00 米子市長表敬
13:30 分散型エネルギーインフラプロジェクト視察
16:15 出雲空港 発
17:40 羽田空港 着

 

伊木米子市長(左)と

 

鳥取県の地域おこし協力隊の皆様と

 

米子市のローカルエネルギーを視察。地元のケーブルテレビ局から取材を受けました。

 

倉敷市美観地区の街並み。21万㎡、約500棟の店舗や民家が集まるエリア全てが昔ながらの建物です。電柱もありません。

 

福山市のビジネスサポートセンターの方々と意見交換

 

福山市の発達支援センターの方々と意見交換