本日の予算委員会は外交・通商政策に関する集中質疑です。質疑の中心は安倍総理の訪米報告でした。大一番のトランプ大統領との首脳会談を終えて、時差をものともせず7時間の質疑に応じる安倍総理には頭が下がります。
個人的には、黒田総裁にシムズ理論(FTPL、物価水準の財政理論)の感想を尋ねた民進党の前原議員の質問が印象に残りました。黒田総裁は「大変興味深いが様々な前提条件のもとで成立する理論であり、依然として各国の中央銀行の金融政策が物価に果たす役割は大きい」といって答弁されていたと思います。私もおおむね同意見です。
シムズ理論の本質はインフレ税ではないでしょうか。通常の財政出動であれば、経済主体は将来の増税や歳出削減を合理的に期待するので、それに備えて、足もとの消費や投資を控えます。その結果、財政支出を増やしても需要が伸びず、物価も上がりにくくなります。そこで、財政は拡大するけれど、同時に将来の増税や歳出削減で穴埋めしない宣言を国がすることで、インフレによって税収を伸ばして穴埋めするだろうとの合理的な期待が人々の間で生じ、結果的にインフレが起きるというもの。しかし、うまくいくためには人々が合理的に期待できるだけでなく、政府の信頼が必要です。政府の信頼がなければ、単なる放漫財政となりインフレをコントロールできなくなる危険が生じます。人為的にインフレを起こそうと故意に財政赤字を増やす政府を人々は信じるのでしょうか。あるいは、物価目標(例えば2%)を達成したら再び財政支出を抑制しなければなりませんが、金融政策と異なり財政政策でそこまできめ細かくコントロールすることが可能なんでしょうか。このあたりが、シムズ理論は興味深いものの現実的な当てはめが難しいと言われる所以かもしれません。
もっとも、デフレ脱却のため、あらゆる政策を議論し検討していくことは必要だと思います。
町田に戻り、町田環境衛生協会の創立60周年・賀詞交歓会に出席しました。おめでとうございます!