今日から仕事始めで、新年を迎え意気込み新たに、出社されている方も多いのではないでしょうか。
多くの皆さんは社会生活を送る上で仕事をし、収入を得て日々暮らしています。一方で、何らかの理由で思うように仕事が出来ず、収入が少ない方もいます。こうした中、『生活保護制度』を巡っては「生活保護受給者は、真面目に働いている人より手取りが多いことがある」「働けないのではなく働かないだけなのではないか」など、様々な意見が聞かれます。
生活保護制度とは、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的とした制度です。
現在の生活保護受給者は214万5114人。100人に1.69人が保護の対象となっています。
対象者には、収入(年金や児童扶養手当など)が、国が定めた基準で計算した最低生活費に満たない場合、保護費として差額分が支給されるほか、食費や光熱水費などの生活扶助や、定められた範囲内で支給される住宅扶助、医療費や税金の免除などが行われます。この保護費は皆さんの大切な税金で賄われていますので、不正受給はもってのほかですが、皆さんが不信感を持つ制度であってはなりません。そこで、安倍政権は『生活支援戦略』と銘打ち、平成25年から生活困窮者や生活保護受給者へ対する支援を多方面に渡り見直しています。
まず、「生活保護受給者は、真面目に働いている人より手取りが多いことがある」といった声を重く受け止め、生活扶助基準と一般低所得世帯との消費実態の不均衡を適正化しました。
必要以上の給付を見直した結果、平成25年から平成28年にかけて総額約670億円の予算を削減できました。

また、「働けないのではなく働かないだけなのではないか」といった声を受け、安倍政権では、生活保護からの早期脱却を強力に支援するため、これまでケースワーカーに頼っていた就労に関する助言などを、新たに専門的な就労支援員を置くことと法律で定め、生活保護からより脱しやすい環境の整備を行いました。
さらに、就労意欲が高まるよう勤労控除制度の見直しも行いました。これまでは、収入に応じ控除率が異なっていたため、いくら働いても手元にお金が残りにくく、勤労意欲の妨げとなるケースがありました。そこで、平成25年8月から、全額控除額を1万5千円(従来より7千円の引き上げ)としたうえで、収入の一律10%を控除することとし、働きに応じて手元にお金が残る仕組みとしました。
また、こうした自立の後押しをするとともに、生活保護を脱却した後のバックアップ体制も整えました。生活保護を脱却した方は、直後から社会保険料を負担する必要が生じるため、生活が途端に不安定になりがちでした。そこで、再度保護に至ることを防止する観点から、就労自立給付金制度を創設し平成26年7月から実施しています。これは、収入から基礎控除額を減算した金額を、決められた割合(1か月目~3か月目は30%など)で計算し、その金額を仮想的に積立て、生活保護廃止時に一括して支給する制度です。生活保護を脱却したあとの不安を軽減し、より自立しやすい仕組みを作りました。(【図表1】を御参照ください。)
このように、安倍政権の進める生活支援戦略では、生活保護受給者に対する支援を見直しつつも、切れ目のない支援を創設するなどして、早期に自立を促す仕組みづくりを行っており、生活保護受給者は【図表2】のように右肩下がりとなっています。
しかし、まだまだ課題は残ります。生活支援戦略により、若い世代の生活保護受給者は減少傾向にありますが、一方で高齢者の生活保護受給者は、増加傾向にあります。(【図表3】を御参照ください。)今後、さらに高齢化が進むことで、生活保護受給者が増えることが予想されますので、早急に対策を打つ必要があります。例えば、東京五輪を機に増加が見込まれる空き家を利用し、家賃を実費支給するだけでなく、現物支給へとシフトするなど、柔軟に制度の見直しを図っていくことも必要ではないでしょうか。皆さんからお預かりした大切な税金を有効に使い、自助・公助・共助のため、より適切で充実した社会制度をめざし、今後も努力してまいります。