正月を如何お過ごしでしょうか。昨年1年間は国会でも重要な法案審議が多く忙しい日々でしたが、そんな中、安倍総理は『地球を俯瞰する外交』と銘打ち、積極的に外交をこなしてきました。これまでに総理は、66か国・地域(延べ105か国・地域)を訪問しており、その飛行距離は984,056km、地球約24.60周分にあたります(12月16日時点)。
積極外交は「世界の中での日本」をアピールする絶好の機会となっていますが、一方、国内ではODA(政府開発援助)に対して、「日本国内の財政状況が芳しくないのに、なぜ海外にお金を使うのか。」「安倍政権になってODAが著しく増加しているのではないか」、といった批判の声も聞かれます。
現在世界には195の国があり、そのうち150カ国以上が開発途上国と呼ばれています。ODAとは「Official Development Assistance(政府開発援助)」の略称で、国際社会全体の平和と安定、発展のため、これらの開発途上国や地域の人々を支援し、環境破壊や感染症、紛争など、地球規模の課題を解決していこうという取組みです。
日本も積極的に支援を行っていますが、添付した図表が示すように、実は日本政府のODA予算はピーク時の約半分ほどに大幅減少しており、地球を俯瞰する積極外交を始めた2013年以降を見ても、ほぼ横ばいで推移しています。「ODAの予算が著しく増えているのではないか」というご指摘は、積極外交によって安倍総理の外遊がニュースで取り上げられる頻度が増えたことに加え、その際に「安倍政権が多額のODAを約束」などと報道されることからくる、誤解だとおわかり頂けたかと思います。
日本がODAを始めたのは、今から62年前に遡ります。当初は戦後のアジア諸国へ対する賠償とそれに並行する経済協力として資金協力を行っていました。近年は、民間企業やNGO、地方自治体や大学などにも国際協力の裾野が広がり、官民連携して様々な事業に取り組んでいますのでODAの予算も減少しています。また、支援先の開発途上国が自立できると判断した際は、新たな支援先に予算を付け替えるなど、支援の見直しを行っていますので、限られた予算の中で最大限の支援を行っているのが実情です。
ODAには、保険や教育などの分野に必要資金を贈与する「無償資金協力」と、返済を前提とした「有償資金協力(円借款)」、日本の技術を伝える「技術協力」があります。
資金面の支援だけでなく、日本の優れたインフラや製品・技術を普及することは、民間企業が開発途上国へ進出する足掛かりになりますし、日本の存在感を世界にアピールする絶好の機会となります。また、有償資金協力(円借款)においては、返済されることを原則に、開発途上国と共に成長できる未来志向の支援となっており日本にとっては無限の可能性が広がります。
資源や食料の多くを海外に依存する日本においては、より良い国際環境を築き、国民の生活を守らねばなりません。その点において、ODAは最も重要な外交手段の一つです。
今、ODAは国際益だけでなく国益重視へと変わろうとしています。ODAにより深いご理解を頂けるよう、戦略的・効果的な支援を心がけていきたいと思います。