皆さん、こんにちは。クリスマス・イヴをいかがお過ごしでしょうか。
最近、自民党内で統計整備の仕事に関わっています。EBPM(証拠に基づく政策)の実現のためにもGDPを筆頭に日本の統計をより経済実態に近づける取り組みが必要だと感じています。そんな中、いわゆる統計ではありませんが、世界○×ランキングのいい加減さが気になります。
国際機関等が発表する世界○×ランキングをみると、大抵の場合、日本は下位に位置します。これを基に、「だから日本は遅れている」との議論がなされるわけですが、このランキングの作成方法をみてみると、はたして日本の実態を正確に反映しているのか首を傾げるものも少なくありません。
例えば、OECDの「より良い暮らし指標(Better Life Index)」という幸福度指標があります。ご多分に漏れず、この指標でも日本は23位ですが、このうち「健康」も最長寿国なのに下位に留まっています。なぜなら、「自己申告の健康」が最下位に近いからです。これも、悲観的な国民性を表したもので(ちなみに、最下位は韓国)、その国で健康的に生きられるかは別問題です。
より深刻なのは、世界銀行の「ビジネス環境ランキング」です。これも日本は34位(先進国中、23位)に沈んでいます。しかし、このランキングも問題点が数多くあります。一例をあげると、日本がとりわけ低評価だった「納税」に関する指標。同ランキングは、各国における、各分野の専門家へのアンケートを元に作成しておりますが、細目に及ぶ質問が英文で寄せられるため、日本の専門家が十分に回答していない、との問題点がかねてより指摘されていました。納税の分野でみれば、回答者数はわずか3~5社であり、そして(スコア改定の要否を問う設問形式のため)回答内容も数年前から変わっていませんでした。この点、財務省が質問文を和訳して10社に正確に回答してもらったところ、これだけで、今年の納税分野のランキングが121位⇒70位に上昇する結果となりました。
 実態を反映していない世界ランキングを放置している事は、わが国のイメージを損ねるだけではありません。世界銀行の「ビジネス環境ランキング」は日本再興戦略等の成果指標(KPI)にも利用されています。その成果指標が実はいい加減な代物であれば、政策効果をきちんと検証することができません。わが国にとって痛い点を突くランキングや指標については、これを真摯に受け止めて改善に向けて努力すべきですが、そうではないランキングについては、財務省の取り組みにとどまらず、政府全体で確り反論していくべきだと思います。
(町田シバヒロではクリスマスイルミネーションを楽しめます。テーマはナイトサファリ。)