本日は、83日間にわたる臨時国会の最終日です。今国会も、予算委員会、経済産業委員会や消費者問題に関する特別委員会の委員として審議に参加したほか、自民党においても経済構造改革特命委員会での経済政策の提言、行政改革推進本部での『事業仕分け』など、皆様のご支援のおかげで様々な議員活動を行うことができました。

さて、臨時国会の終盤において、地元に戻ると、IR(統合型リゾート)推進法案についてご質問を頂くことが多くなりました。その多くが、社会的コスト(ギャンブル依存症、反社会的勢力の関与、青少年や周辺地域の治安への悪影響)などを心配する声です。
 参議院では参考人招致も含めて16時間の審議を行いましたが、衆議院での審議時間が短すぎるとのお叱りも頂戴しました。こうした声を我々はしっかりと受け止めねばなりません。しかし、今回成立した法案は基本的には「政府はIR推進法の公布日・施行から1年以内にIR実施法案を策定し、国会に提出しなければならない」という事が書かれているプログラム法案に過ぎません。今後、国会でIR実施法案を審議・成立させる過程で、全国のIR区域数、区域選定・事業者選定の在り方、社会コストの最小化の仕組みなど詳細を規定しなければ、国内でカジノ施設の建設は認められることはありません。ですから、私どもはこれから実施法の審議にじっくりと時間をかけて、上記の心配や懸念の声が少しでも解消できるような制度設計や規制を模索していくつもりです。
 また、「カジノ施設はギャンブル依存症を助長する」との意見にも注意が必要です。世界127ヵ国で既にカジノ施設が存在しますが、キャンブル依存症患者の割合はカジノ施設が存在しない日本が突出しています(成人人口の4.8%と推定)。1000カ所もカジノ施設を有する米国ですら、1.6%です。そして、日本のギャンブル依存症の8割がパチンコ依存症といわれています。保有資産や収入に応じてカジノに興じてもらえるよう厳格な入場制限や顧客管理を課すと同時に、カジノ施設であげた収益を国庫納付金として、現状放置されているギャンブル依存症対策にまわしたほうが、現実的にギャンブル依存症の方を救えるとの声も現場からは聞かれます。
 残念なのは、民進党の対応です。IRに関する議論は最近始まったわけではありません。超党派のIR議連が結成されたのも、国交省の報告書に新しいアイテムとしてIRが登場したのも、2010年。すなわち、民主党政権下です。さらに言えば、できるだけ早く具体的な検討すべきとの指示を打ち出したのは、当時行政刷新担当大臣だった蓮舫民進党代表だったのです。自らも検討し賛成派の議員が多くいるにもかかわらず、IRに対する世論の反対が多いとみるや否や、過去の自身の主張を覆す民進党の姿勢には、国会や世の中を混乱させることはあっても世論の支持を得られることは無いと思います(この点、年金制度改革法案においても民進党は同様の事をしています)。
 私自身はギャンブルの類は一切やりません。IR施設が東京オリンピック・パラリンピック終了後も引き続き外国人観光客を呼び寄せる観光アイテムのひとつとなっていくはずですが、こうしたメリットを社会コストが上回ることがないのかどうか今後の審議において与党の議員として厳しく目を光らせていくつもりです。