昨日、今日と二日間連続で財務金融部会・金融調査会の合同部会が開かれました。今国会で提出される金融商品取引法の一部を改正する法案について議論するためです。同法案は①増資インサイダーの規制強化、②年金運用規制(AIJ事案)の見直し、③金融機関の秩序ある処理の枠組み、④株式保有規制の緩和、⑤Jリート市場(日本版不動産投資信託)の活性化を内容とするものです。

 

 

 

 

 

今回は、株式保有規制の緩和が議論の対象となりました。日本には、「銀行は原則として議決権の5%を超える株式を保有してはならない」というルールがあります。これは、銀行による産業支配の防止、金融機関の健全性確保、利益相反の防止を目的としたものです。アメリカやEUにも同種の規制が存在します。改正が検討されているのは、企業再生や地域経済の活性化を促進するため、この5%ルールの例外を拡充しようという点です。

 

 

 

 

企業再生や地域経済の活性化は喫緊の課題であり、本業である銀行融資が伸び悩んでいる中にあって、あらゆる策を講じて企業に資金を供給しなければならないという意見があります。他方で、こうした規制緩和が不良債権の「飛ばし」や「塩漬け」の温床になり、銀行に過度な与信リスクを負わせる可能性も否定できません。過去の金融危機の教訓を踏まえると、金融システムの健全性を守り、銀行には経済の代謝を促す役割を担ってもらわなければなりません。

 

 

 

 

地域経済の再活性化は図らなければならない。銀行は現在その役割を十分に果たし切れていない、という点については衆目一致していると思います。しかしながら、その解決策については意見の相違があり、更なる議論が必要です。