空想少女

 

 

私は パパが

いえ 私と パパは

本当は 血が 繋がっていない 親子なんだ

でも でも でもね でもなんだ

パパは 私が 小さなときにね

まだ パパのことを パパってさ

どうしても呼べなかったころにね

そんな 無理して パパって呼ばなくてもいいよ

だって 俺は キミの、本当のパパじゃないんだからさ

でも いつまでも、おじさんじゃ 嫌だな

そうだ

せっかく キミのママと 結婚するんだ

俺のことは ママとは 違って ファーストネームで呼んでくれ

そしたら 俺も キミのことを ファーストネームで呼ぶからさ

でも 俺のことを 信頼して パパだって 感じたのなから

いつでも パパって 呼んでくれればいいから

約束なっ!

それから パパと 私は 親子になった

月が 明るい 夜も

明るい 今日の光が 差し始める 朝日にも

常に ママとだけ 見ていた 明るい朝の光が

最初 パパと 呼べなかった 男がいるだけで

また 別の明るさが 私たち 家族を 照らしていったんだよ

約束なっ!

その明るい魂の宿る言葉が

私の心の氷を溶かし始めて

笑顔が

なんの変哲もない

笑顔が

私を蕩けさせてくる

許してしまう

過去は 過去として 通り過ぎていく時間

許してしまう

許されなかったものを許してしまう時間

明日は 仲良くしよう

明後日は また考えればいいよね

パパ

高まる心音が 耳に 聞こえるとき

初めて そう呼んだんだ

涙が 自然に 流れたのを 覚えているよ

頬に 涙の跡がついたのも 知ってるんだ

だって 私が そうだもの

だって パパも そうだったじゃない

でも もう パパはいない

軍人だった パパは 戦争に 行っちゃった

だから もう パパはいない

国が 起こした 戦争で 今は もう いない パパ

国が 起こした 戦争で また いなくなった パパ

せっかく親子になれたのに

また いなくなっちゃった

絶対に いなくならないでって 約束したのに

うそつき!

もう 私は 前のパパよりも

パパ あなたのことが

愛おしいのに