ワイルド・スワン(上)
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激動の中国近代史を背景に清朝末期の祖母の誕生からユン・チアンの1978年
のイギリス留学までの一族の苦難の歴史を冷静な目でとらえた傑作。文化大革命
の混乱と狂気なかに青春を過ごし一族への迫害に耐え毛沢東
の真実に目覚めていく自分自身を描いている。
中国史専攻でーすというくせに、ワイルド・スワンも読んでませんでした。
穴を掘って隠れたいくらいです。教授、やっと上巻を読み終わりましたぁぁ。 (実は『大地』も読んでません!教授~っ)
さて、不肖の中国史専攻学生が唯一覚えている教授の教え。
「ワイルド・スワンを歴史史料だと考えてはいけない。」
これはあくまで、著者の家族が体験したことの聞き語りでしかない。著者が膨大な知識で裏づけした事実を加筆してはいても、それは著述の補填であり、科学的な事実である史料とは言えない。
というものであります。
特に、上巻は著者の祖母(清末から国民党時代)、母(国民党時代から文化大革命の始期)であり、著者が複合的に思い出を収集した内容となっているため、ノンフィクションとは厳密に言えない = 物語 、なのです。
そこを十分に承知した上で読み進める必要があります。
とはいえ、補填された密度の高い情報のため、非常に参考になります。特に、20世紀初期の中国の支配勢力の変遷は急激ですが、ここで「満州国→ソ連→国民党→共産党」(東北地方の場合)を具体的に把握することができます。
中国の一般庶民がその中をどのように生きたかという人間ドラマもね。
読めば、中国現代史の必須語句の数々がとてもよくわかります。
もっと早くに読んでおけば、中国マニアと話すときに恥をかかなくてもすんだでしょうし、大学に残って学究の徒を選んだかもしれませんが、すべて後の祭りですねぇ。
せめて、これからは大きな顔をして長征や大躍進について語りたいと思います。
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