日本人が(というか、私が)英語を話せない理由
っていうのにちょっと思い当たったことがあるので、
どうやって人に伝えたらいいかわからないんだけど、
ちょっとメモしておきます。
まず、きっかけは、英会話の生徒様向け会話ゲームのを作成しているときのこと。
1つの言葉を英語で説明するという単純なものですが、
使ってはいけないタブーワードを3つ設定する必要があって、
これを使えば確実に伝えられるという言葉
っていうのを考え始めたんです。
日本語のレッスンならこんなのはサクサク進められる単純作業。
時計…時間 確認する 腕
ナイフ…肉 切る 食事
とか。
でもね、
時計はWatchとclockとか、
切るはsliceかcutかで違う。
英語むず!!!ってなりました。
どこで境界線を引くかは言語によって違うっていうのがまず一つ。
生徒様も机を説明するときに、
「木でできている」っていうのを
「wood」か「tree」か悩んでいて、
英語と日本語の指し示すものの範囲ってこんなに違うんだっけ?
っていう驚きがありました。
かなり初歩的なレベルですけど、
知らないからこそ気づくということで!
また、りんごを説明するのに、
fruitとかスティーブ・ジョブズをタブーワードにしたら、
アメリカ人の先生からは「アダムとイブ」って出てきて
文化的に連想するものも違うんだなと目から鱗。
不思議なのは、上手な生徒様とネイティブの先生より、
日本人同士の方が正解に辿りつきやすいっていうこと。
選ぶ語彙や表現に、日本人同士の方が連想する回路というか
文化的な共通認識があるんだなと思ったのです。
文化的な認識の違いが物のイメージに付随しているなと思ったのが一つ。
さらに、もう一つは、
「表現」みたいなレベルで感覚の違いっていうのがあるなってこと。
例えば、「〜しませんか」って言いたい時に、
なんて言ったらいいかわからなくて
「Do you want to〜」って出てこないみたいな。
wantはしたいとか欲しいって習ってきたし、
一つ一つは簡単で、全部わかる単語だけど、
まとまったときに使う場面の正しさがわからない。
文法とか語彙だけでは「ませんか」と結びつかない。
だから日本人の感覚と感性で英語の文法と語彙を使っても
変な英語になっちゃうし、伝わらない。
どう表現したらいいかわからないんだけど、
言語ってその言葉の世界そのものだなと。
ゲームを通して、
「言語によって世界の捉え方が違う」
っていうのを実感したのです。
ちょっとサピア・ウォーフの仮説ぽいけど、
言語に影響を受けるというか、
その文化を理解しないと言語を使いこなせないと考えれば、
言語をマスターしようと思うとその文化の行動様式なり、
考え方なりをトレースしていかないと使いこなせないという意味では、
認識が言語の影響を受けざるを得ないといってもいいのかもしれない。
つまり、私がというか、外国人が他の言語を話せないのは、
①単語の指し示すものの範囲を認識できていないこと
②その単語に持つイメージが異なっていること
③表現としてのまとまりが理解できていないこと
に原因があるんじゃないか。
それは、裏を返せば、
①単語の指し示すものの範囲が違うことを認識して、
学習言語の語彙の範囲を理解する
②学習言語の国において、その単語が持つイメージを理解する
③この時はこうやって話すんだ!と場面や機能の表現として、
まるごと覚えてしまう
ってことをすれば、話せるようになるんじゃないか!?
ということです。
前置詞とか、助詞とか、語順みたいな、文法的なものにも
原因があるとは思うんだけど、
それってネイティブだったら補正できるレベルの些末な問題なわけで、
それよりもまず、上記の部分を習得できたらいいなーと思ったのでした。
そして、それは日本語学習者も同じかなと思います。
「〜したいですか」と聞くのが直接的すぎる表現だっていうのが、
感覚的に日本人だからそう思うっていうことであって、
彼らはそういう感覚じゃないかもしれない。
「Do you want to〜」の場面で、じゃあ日本語でなんて言うか。
直訳しない!語彙で教えない!文法で教えない!
表現として「~ませんか」をつかうんだ!
っていうのが大切なんじゃないでしょうか。