中級のクラスで、「中身か外見か」っていうテーマの話を読んで、

作文の授業をしたんですけど、

みんな「中身が大事」っていうんですよね。

「どんなに外見がよくても中身がなければ意味がない」とか、

「外見は年を取れば変わるから大切じゃない」とか。

 

おお!みんなまともだ!と思ったけど、

じゃあ、中身をよくするためにどんな努力をすればいいのか、

という問いに対して、

「人にやさしくする」とか、「親切にする」といっていて、

「ん?それが中身が素晴らしい人なんじゃないの?

そうなるためにどうすればいいの?」って聞いても

お互いに「???」って感じでした。

 

ひとりの学生が、「話す言葉は外見に入るのか、中身に入るのか」

という質問をしてきて、

「うーん、難しい問題だけど、

取り上げられている二つとは関係がないから、

どちらにも含まれないことにしよう」といったん除外した。

 

確かに、外見って、どこまでその人の外見とするのか、

中身が大事って、心がどういう状態ならすばらしいといえるのか、

それをどうやって判断するのか、

深く考えるとなかなか比較が難しいテーマです。

 

わたしは「外見が大事」という意見で学生と話したのですが、

ルッキズムがよくないっていう今の世の中で、

「外見が大事」って言いにくいことですよね。

美醜で人を差別するのはもちろんよくないことだとして、

でもあえて言わせてもらいますが、

造形の美醜以外の部分で、外見って重要だと思います。

 

例えば服装や髪形などの清潔感とか、表情とか、肌つやの状態とか。

病気を判断するときも肌とか目とか舌とか、色で判断しますよね。

 

学生たちよ、中身は見た目で判断しているのですよ。

 

面接のときにしわしわのスーツを着ていたり、

サンダルを履いていたり、

寝癖が付いたままで、

面接に合格できますか。

 

表情にも中身は表れます。

わたしは瞳が美しい人で悪い人に出会ったことがありません。

きれいな造形でも目つきがよくない人って結構いる。

目つきが悪いって、睨んでいるわけじゃなくて、

生気が感じられない人結構います。

口元も、口がへの字に曲がった人で、明るい心の持ち主がいますか。

(でも、つらい時でも口角あげていると、気持ちも明るくなるんだよ。)

 

肌にもそういうの、現れます。

なんかよくわからない虫さされがたくさんある学生

部屋がゴキブリの巣窟だったんですが、

部屋を清潔に保てない生活習慣をもつ人の心は

はたして「よい」と言えるのでしょうか。

 

中身が大事という学生の「中身」って何をもってして

「よい」っていう判断なんだろう…。

 

遅刻しても「中身はいい人だから」

約束を守らなくても「中身はいい人だから」

学費を払わなくても「中身はいい人だから」

 

…中身をどうやって判断しているの???

 

人の物をかりて、返さなくても「中身はいい人」?

お店でお金を払わなくても「中身はいい人」?

人を傷つけても「中身はいい人」?

犯罪者でも「中身はいい人」?

 

…中身って、外見や行動に表れてはじめて、

いいか悪いか判断されるんだよ。

 

中身って、自分の中身しかわからないんだから、

人に伝えるには外に表れるものしかないんだよ。

 

「中身が大事」っていうなら、

とりあえず遅刻しないで、約束守って、学費払ってくれ。

外見をきちんと整えよう!っていう努力は中身を成長させてくれます。

中身で努力の方向がはっきりわからないなら、

外から変えていくのも一つの方法だと思います。

 

っていうことを言いたかったんだけど、

説教臭くなるので、ぐっと飲みこんだ授業でした。