皆さんにとっていい日本語教師ってどんな人ですか??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今、きちんと心の中に答えが浮かんだ先生は

自分の中にきちんと「理想の日本語教師」を持っている先生ですね。

 

まずは「自分の理想の教師像を持っている」こと。これがとっても大事ですよね。

 

さて、前回お話した『反面教師にするべき日本語教師5選』で、

学生に嫌われてしまう先生についてお話したのですが、

この方、本当にまじめで熱心で、学生思いで、休日にはオンラインセミナーなんかにも参加する「いい先生」なんですよ。

自分の理想とする教師像をブレずに体現されている方だと思います。

そういう面で、皆さんと同じ「いい先生」と言えます。

でも学生、そして上の先生(教頭先生)からは非常に厳しい評価なんです。

 

今日は3つの視点で、いい日本語教師を考えてみたいと思います。

 

 

1. 自己評価 理想の教師像

2. 学生評価 都合のいい教師

3. 人事評価 一緒に働きたい教師

 

 

1. 自己評価

まず、「理想の教師像を持っている」というのはとても大切だと思います。

ゴールを描けなければ、どこへ向かって走っているのかわからなくなります。

その理想とのギャップを埋めるように自分を高めていくことは重要です。

じゃあ、理想の教師ってどんなものなの?

それは本当に人によって違いますよね。

・ルールやマナーを守らせる厳しい先生

・文法や語彙についてなんでもこたえられるプロフェッショナルな先生

・学生のために何でもやってあげる自己犠牲の精神を持った先生

 

どんな考えでも目標を持っているのはいいと思います。

ここで怖いのは特に目標とかでなく、「自分が正しい」というタイプの先生です。

学生に対してモラハラっぽい態度をとってしまうのは

こういう人なんじゃないかなと思います。

 

目標を持っている人も、最初にあげた嫌われる先生のことを思い出して、

自分の理想の先生って本当に「いい先生」なのか?と振り返りが必要です。

 

2. 学生評価 

次に、学生からの評価です。

以前の学校では学期末にアンケートを取っていました。

 

「反面教師にすべき~」でもご紹介した

嫌われる先生と何も教えない先生

の評価を比べてみたいと思います。

 

みなさんはどんな結果になったと思いますか?

嫌われる先生っていうのはこのアンケート結果で

しっかりそういう結果が出ているのですが、

 

何も教えない先生って、意外と評価が高いのです。

 

意外じゃないですか??

わたしは「えーーー!!!」ってなりましたよ。

 

何も教えないのに評価が高いってどういうことだ?と。

それで、見学に入ったわけです。

 

わかったのは、

・学生は先生の話を聞かない

・おしゃべりが自由にできる

・自由に自分の勉強ができる

 

そして何よりも

・学生を怒らない!!!

 

学生は注意もされなければ怒られもしない。

これは学生にとっては「いい」ことで、

なんでも自由にできる時間をくれるやさしい先生は「(都合の)いい先生」ということです。

 

あとは進路の手伝いをしてくれる担任の先生は無条件に評価が高いので

評価方法に大いに問題があることは間違いないのですが、

このアンケートは学生の「好き嫌い」がダイレクトに表れるものなので、

学生の気持ちはよくわかります。

 

まあ、お客様満足度は大事なので、

熱心に注意する先生よりも何もしない先生がいい先生なのは

一理あるといえばあるのかもしれません。

 

 

3. 人事評価

最後に人事評価ですが、これには二つの側面があって、

ひとつは採用の時の評価、もうひとつは上長による講師評価だと思います。

 

まず、採用時の評価ですが、

採用側から「いい先生」というと、

授業の完成度よりは、教壇に立って、

笑顔で学生とコミュニケーションができるかどうかだったりします。

この辺りは学校の方針とか、採用基準とかがあると思うので、

一概には言えませんが、わたしが採用していた時はそんなかんじです。

あとは客観的に自分を見ることができるか。

わたしは面接のとき、「今の模擬授業何点ですか」と聞いています。

満点と答える先生は少ないので、

「足りない点数は、何が足りないか」を聞きます。

しっかり振り返ることができる先生だと今後の成長が期待できると思います。

 

そして、最後は結局「一緒に働きたいかどうか」です。

...採用を担当していた時、ひとり不採用にした方がいました。

お人がらはとてもよく、授業の準備も丁寧で、

非常にがんばっていらっしゃったのですが…

「はじめてください」といってから、授業スタートまでが非常に長く、

学生役の私たちは5分くらいずっと待っている。

筆記試験で「やめてください」といってから「あと少し、あと少し」と15分くらい延長されるなど、指示を聞いていただけない。

というかんじで、これは面倒だな、と感じてしまったのです。

性格がよくても、一緒に働くのにはちょっと、と感じさせてしまうと合格を出せないのです。

わたしも試験を受ける側で落ちたりもしています。

振り返って、うまく熱意を伝えられなかったな、とか。

ちょっと他責思考な言い方になってしまったな、とか。

反省はいろいろです。

 

そして、もう一つの評価、採用後の評価は

上司の理想とあっているかどうかというものになります。

本当は学校の目指す方針がきちんと決まっていればいいのですが、講師評価の基準があいまいな学校もめずらしくありません。

結局のところ、判断を下すのは人事権を持った上司ということです。

上司の理想とする教師像といかにギャップがないか、これが基準になってしまっている気がします。

人によって考え方が違うので、難しいところですが、最悪なのはやっぱり

「自分が正しい」って思っているタイプの上司に当たることですね。

 

困ったことにいい日本語教師がいい上司になるわけじゃないので、

運営能力が低い人が主任になってしまうことも全然あり得ます。

わたしも中間職のスキルがなかったので、

めちゃくちゃビジネス書を読み漁ったりしましたw

 

何にしても他の人から評価される教師っていうのも大切ということですね。

 

さて、ここまで、3つの視点で「いい日本語教師」の判断基準を書いてきたのですが、

参考になったでしょうか。

結局何が「いい日本語教師」なんだよ!と思ったかもしれませんが、

人によって考え方は様々なので、

 

まずは自分の中に「理想の教師像」を持っておくこと、

その教師像を目指す自分が、学生や他の先生からどんな評価をされているか、

時々振り返って、柔軟に変化していくことができるのが

いい教師なんじゃないかなと思います。

 

ちなみに私の理想とする教師は

・明るく朗らかで、明瞭に話せること

・学生の発話量を最大限にふやすこと

・何を聞かれてもわかりやすく説明できる(日本語の)プロであること

・学生を一人の人間として尊重し、(日本語力ではなく、)生きる力を伸ばすこと

・職務の範囲でそれぞれの学生にしっかり向き合い、差別やひいきをしないこと

この5つのことができたら100点という感じです。

 

今のところ50点くらいかなー。

まだまだ努力が必要です。