智SIDE
未玖とふざけあっているうちに、
デッサンはあっという間に完成した。
…ずっと見てきた君の横顔なんて、
見なくたって描けてしまう。
準備室から久々に自分のパレットを持ち出し、
渇いた白いパレットに絵の具を落とす。
智「ほら、色着けるからちゃんと横向いて?」
未玖「はぁーい。」
俺が色を作っている間、
また沈黙が流れる。
それは、離れていた時間のせいなのか、
迫り来る別れのせいなのかはわからない。
未玖「…これ書いたら、もう行っちゃうの?」
未玖が奮える声で聞く。
智「どこに?」
未玖「遠くに。」
智「…ほら、喋んないで。じっとしてなきゃ。」
そう言うしかなかった。
強がりの普段が嘘みたいな初めての君だったから。
未玖の頬に涙が筋を作る。
未玖「…やだよ……。」
未玖は俯いたまま涙を流している。
俺は完成した未玖の横顔に淡い涙のあとを加えた。
続く★