和也SIDE
あれから…一年がたった。
蘭のこと、忘れるはずがなかった。
それどころか、暇さえあれば蘭のお墓に言って、いろんなことを話していた。
どんな辛い日だって、ここで話すと、すっと心が楽になるんだ。
蘭が傍で頷いてくれるような気がするから…。
そして今日は、
ある相談をしに来たんだ。
和也「蘭、俺さ、…好きな人できちゃったんだ。
昨日その人に、告白されちゃって…。
付き合っても…いいかな…。
もちろん、蘭は大好きだよ。
でも、蘭を幸せにしきれなかったさ、
俺は、その人を、蘭の分まで幸せにしたいと思ったんだ。」
…………。
答えなんて、帰って来るはずがない。
和也「…でも、これからも、ここに来て、たくさん話すから。
……じゃ、また来るね。」
俺はお墓を離れようとした。
その時だった。
「幸せにしてあげてね。」
…………!?
蘭の…声…?
俺は思わず振り返ろうとした。
蘭「振り返らないで!
…そのままで、聞いて?
和也は、優しい人だからさ、みんなに優しくしちゃうんだよね…。
その人を、精一杯、幸せにしてあげて?
そのかわり、こっちに来たら、ずっと…そばにいてね?」
和也「…おう。」
俺の頬には絶えず熱い涙が伝っていた。
蘭「気長にのんびり待ってるからさっ。
ほら、行ってこいっ!」
俺は何かに押された。
秋風だったかもしれないし
蘭の手だったかもしれない。
その後、蘭の声は聞こえなくなった。
ゆっくり振り向くと、
そこには誰もいなかった。
一年経って、
ひとつ人生の区切りがついて、
俺はまた一歩、歩きだす。
もう…振り返ることはない。
でも、辛いことがあったら、またここに来よう。
俺は幻の奥さんに
世話やかしっぱなしだよ。
ありがとう。
俺は蘭の分まで、精一杯生きてから、
蘭に会いに行くよ。
蘭…
愛してる。
俺は家に帰り、
書きかけの歌詞に
ある一節を加えた。
もしたとえばの話
そんなガラじゃないけど
僕の人生最後の言葉は
笑って言う
“ありがとう”
なんだ…
おわり★