「現役続行」






レースの翌日、五十嵐調教師から電話を頂きそう教えられました。




この件に関しては、多くの賛否両論があったと思います。





僕自身も、驚きましたし、悩みました。






「お前が勝たせるから、あの馬引退できんくなってもたやないか。
このままお母さんになれたのに」
と言われた事もありました。




冗談半分で言いわれているんだろうなとは、思っていましたが、正直心苦しかったです。






ですが、阪神大賞典の騎乗依頼を正式に受けた時、考えを決めました。



「プリキュアは、復活したんだ。
これから、更に上を目指して一緒に頑張ろう」





そう考える様になって、すごく気分も楽になりましたし、その年の最大目標である天皇賞にやる気が出てきました。




一旦放牧に出ていたので、様子を見に行った時、すごく落ち着いた優しい目をしていたプリキュアを見て、癒やされた事もそう思えたきっかけでした。




そして阪神大賞典、天皇賞(春)と大レースを経験させて貰い、とても大きな経験をプリキュアにさせて貰いました。


特に、初GⅠにプリキュアと挑めた事は、本当に嬉しく思っています。




秋になり、京都大賞典。



当初僕は、その年の夏に北海道でみなみ北海道Sで勝たせて貰ったクイーンスプマンテに乗る予定でした。
みなみ北海道Sは、49kgだったとは言え、とても力強い勝ち方でしたし、高い能力を感じていたので、十分を勝負になると思っていました。


しかし、急遽プリキュアが同じ京都大賞典に使うと言う事になり、どうするか決めなければならなくなりました。



普通、騎乗馬は先に頼んで貰った方を優先します。



ですが、その時は後から頼まれたプリキュアに乗せて貰う事に決めました。



やはり、初めて重賞を勝たせて貰った馬ですし、これから上を目指すと決めた馬だったからです。



その事を、理解して下さったグリーンファームの河野社長や、小島茂之調教師には本当に感謝しています。



その後、エリザベス女王杯でクイーンスプマンテが勝ち、プリキュアが2着になりました。











その時、僕はどちらにも乗っていませんでした。