グレイスランド
ロンドンから帰国して、時差を克服しながら、なんとか日常に戻っています
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昨夜も夜中に目覚めてしまい、仕方ないから録画した番組でも観ようかな…と何気なくTVをつけました。
ポール・サイモンの「グレイスランド」25周年記念のドキュメンタリーです。
世代的にも、特別聴き込んだ時期は無いのですが、偉大なアーティストの特集だから…という気持ちで見始めました。そして驚きました。
私がデビューして間もない頃に作られたこのアルバム制作の背景には、南アフリカのアパルトヘイト問題を抱え、そんな時代に政治的な抑圧を押し退けて奇跡的に生まれた、とてもとても、確かな意味のあるアルバムだったのです。
私はといえば、自分の目の前に次々と広がる新しい仕事に精一杯で、まだ世界で起きている様々なニュースの事は蚊帳の外、といった感じで過ごしていたと思います。高校生だったし。
ポール・サイモンの長時間にわたる(と思われる)インタビューを元に、当時の貴重なレコーディング風景を交えながら、関わったミュージシャンのインタビュー、どんな経緯で進めていったかを、つなぎ合わせて番組は進行していきます。
その中で、当時南アフリカに起きていた文化的な活動のボイコットは国全体で取り締まっていたのです。でもたまたまこの時期に、南アフリカのアーティスト達の音を耳にしたポール・サイモンは、居ても立っても居られない感情を押し鎮めることなく「一緒に音を作りたい」という、ただそれに向かって実行に移していったのです。
音を聴けば、観衆は直ちに感動し、身体全体でリズムを取り出すのだけれど、方や国内活動家の人達からは、
「アフリカの体制を理解せずに、勝手にこの土地のアーティスト達の曲を自分の商業に変えているだけではないのか
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などと中傷されました…ポール・サイモンはどんな時も冷静に対応し、
「では関わったミュージシャン達は、心から楽しんでいないと言うのか
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もちろん、レコーディング当初はミュージシャンも、ポール・サイモンが誰なのかさえ知らなかったという人もいて、何をしようとしているのかわからなかった…と正直に明かしていました。そこは音楽のマジック
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セッションを重ねるうちに、コミュニケーションをとっていくうちに、みんなが笑顔になり、躍りながら歌う姿が映し出されています。素晴らしい即興演奏。そんな時間を重ねていき、NY、Londonなどで微調整しながら、伝説のアルバムが仕上がったのだそうです。
アルバムを引っさげてツアーで世界を回るポール・サイモン。そして初めて自由を身体で感じ、ステージ上でも観客席でも黒人の方、白人の方が一緒に盛り上がるLIVEというのは、今では考えられないけれど、この時がまさに歴史的瞬間だったのだそうです。
ツアーの最中にも妨害に合ったり、数々の困難に立ち向かいながら、グラミー賞最優秀アルバムを受賞
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後にネルソン・マンデラ氏の解放。それにより、南アフリカの文化的ボイコット活動にも終止符が打たれました。
音楽評論家の方も、
「政治的なことを揶揄する歌詞を歌った訳でもなく、ただポール・サイモンは楽しく歌い踊れる音楽を芸術家として完成させただけ。時代の荒波に巻き込まれてしまったが、25年経った今も本当に意義あることを成し遂げたんだと言える…」
と語っていました。
このアルバムには、番組だけでは語りきれないロングストーリーがまだまだあるのだと思いますが、純粋に音楽は国境を、世代を超えて共感し合える最大の武器だと、改めて深く、深く考えさせられました
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