秩父鉄道・SL列車の旅(2)
- パレオエクスプレスに揺られて -
熊谷を出発したパレオエクスプレスは、市街地をゆっくりと走って行く。
車内では、飲み物や弁当、グッズなんかの車内販売もあったりで、すっかり行楽ムード。
ついついグッズを3点ほど購入。可愛らしいSLのおもちゃだとか。こういうの、買ったところで別に使うワケでも無いのに、でもついつい買ってしまうんだよなぁ。
お喋りに興じるグループ客、楽しげにはしゃぐ子供ら。その一方で、SL乗車を真剣に楽しむ「鉄」(俺か)。乗客達は皆、それぞれの時を思い思いに過ごしている。
近くのボックス席に座っていたおじさんは、赤ワインをフルボトルで持ち込んで、独り延々グラスに注いで飲んでいた。そんな鉄道旅もちょっと贅沢でイイかもしれないな、と惹かれてみたり。
パレオエクスプレスは、次々と駅を飛ばし、主要な駅だけに停車して行く。駅によっては数分間の停車時間があったりするので、降りて写真を撮ったりも出来る。
寄居(武川だったかも)にて。
人多過ぎてまともに撮れなかった熊谷と違って、ちょっとはマシに撮れたかも。
しかしこのパレオエクスプレス。停車駅こそ少ないものの、全くスピードが出てない。時速50キロも出てないんじゃないか? とにかくゆっくりと走る。
途中、どこかの駅で運転停車したのだが、てっきり対向列車との行き違いかと思いきやなんと、同方向の後続の普通列車に抜かされていったwww
停車駅少なくしてる意味ねー。
同じSL列車でも、去年の冬に乗った真岡鉄道はそれなりにスピード出していた印象があるのだが、こちらのパレオエクスプレスはとにかくのんびりと走る。
さて、ずっと市街地の中を走って来たSL列車、寄居を過ぎたあたりから田園色が濃くなり、車窓が面白くなってくる。
冬枯れの野を駆け抜け、清流を渡り…。いかにも日本の里山と言った、こんな風景がSLには似合う。
しかしそれよりも何よりも…沿線に撮り鉄多過ぎワロスwwww
やはり最終日だからなのか? とにかく三脚にカメラ構えて待っている人が多い。でも線路間際とか、明らかに他人の畑とか、マナー違反っぽい場所にいる輩も目立ったけどナー。
途中、秩父の駅ではホームで祭囃子のお出迎え。
この日は「秩父夜祭」と言うかなり大掛かりな祭りが行われている模様。秩父駅の周辺には物凄い人の数。食べ物の屋台なんかがたくさん出ているのも見える。
SLの乗客もこの秩父で大半が降りる。やはり皆、お祭りが目当てなんだろうか。そのおかげで僕の座っていたボックス席は乗客が誰もいなくなり、座席を一人で占有。昔ながらのボックスシートは背もたれが固くて決して快適とは言い難いのだけど、でもこんな風に一人で丸ごと使えるのなら話は別。ゆったり出来てとても気分がいい。
そして、誰もいなくなったのをいいことに、窓をいっぱいに開ける。この日はおよそ冬らしくない気持ちの良い陽気で、入ってくる風もそんなに冷たくは無く、むしろ心地良い。
何より、窓を開けるとSLの走る音が、吐き出す煙が、直に車内に飛び込んでくる。きしむ車輪の音、すすけた煙の臭い。そんなSLの鼓動を、息吹を肌で感じられるのだ。
やはりSL列車はこうで無くては。
窓を閉め切っていたんじゃあ、SLの息遣いなんて分かりっこない。それなら、わざわざSLに乗る意味なんて無い。電気機関車が引こうが、蒸気機関車が引こうが一緒のこと。
辺りを見渡すと、そこかしこのボックス席で窓を開けている人の姿が目立つ。やはり皆、分かっているのだ。SLの楽しみが何か、と言うことを。
そして、12時44分、終点の三峰口に到着。実に、2時間半にもおよぶ長旅だった。
ここでしばしの写真撮影タイム。ホームから、少し離れた位置から、何枚も写真を撮りまくる。他の乗客に頼んで記念写真なんかも撮ってもらったりw
噴煙を上げるSL。後ろには秩父鉄道の様々な車両や、西武鉄道の車両の姿も。
また、この日は今年度の運転最終日と言うこともあって、ここで運転終了の締めの式、そして機関士さん達への花束贈呈が行われる。
そんな式を見学していると、ちょっとじーんと来ちゃったりもする。老体にムチ打って走ってくれたSLへの尊敬の念、整備し一生懸命に走らせてくれた機関士さん達やそれを支えた関係者さん達への感謝の念。そんな気持ちと、ここまで一緒に乗り通して来た自分自身の達成感だとか満足感とが入り混じって。
この感動は途中、秩父の駅とかで降りちゃった人達は味わえないんだよなぁ。終点まで乗り通した人の特権とでも言うか。
さて。この三峰口の駅。構内に、「鉄道車両公園」があり、古い電車や貨車、機関車などが何台も静態保存されている。
貨車は内部を見ることも出来る。貨車の中なんてそうそうは見れないからこれは貴重。
僕のお気に入りはこのコ。かわいい。
さて、この鉄道公園のすぐ側にターンテーブル(転車台)があり、SLはここで方向転換をする様になっている。待つことしばらく、SLがやって来た。
ターンテーブルの上で誇らしげにその雄姿を披露するSL。その姿を眺めていると、胸の奥になんとも言えない熱いものがこみ上げてくる。
去年乗った真岡鉄道のSLでは、ターンテーブルが回る際にオルゴールが鳴って、その郷愁を誘う音色と相まって危うく涙がこぼれそうになったのを思い出す。
この秩父鉄道では、ターンテーブルが回る時には警報音が鳴るだけだけれど、でもやっぱり、それでもじんわりと来るんだよなぁ。
陽を浴びて黒光りするSLの姿は、とてもただの鉄の塊だとは思えなくって、まるで本当に生きているかの様で。それを眺めているうちに、これまでの彼の人生だとかが僕の頭の中で浮かび上がって…。
ここまで来るにはきっと、色々と苦労があったんだろうけど、でもそれを乗り越えて、今もこうして元気に走り続けてくれている。そして今日、僕とこうして出会えた。そんな運命の取り合わせにも感謝して…。
SLって、ただの乗り物を超えた、こう人の心の奥底に訴えかける「何か」があるんじゃないか、と。そんな気もする。やっぱり、SLってイイよなぁ。







