2008年7月・熊本旅行(9)
- 肥薩線の面白気動車(1) 「いさぶろう・しんぺい」 -
7月21日(月)。今日も天気はよく晴れている。
今日は、熊本を後にし、肥薩線を走る面白気動車「いさぶろう・しんぺい」そして「はやとの風」に乗りに行くのだ。ちなみにこの2つの列車、共にキハ40(系列)を改造して造られている。いわゆる「国鉄型気動車」の中ではまだまだ残両数が多く、珍しくもなんとも無いあの車両が、一体どんな風に生まれ変わっているのか。JR九州マジックへの期待に胸が膨らむ。
熊本駅から、まずは特急「くまがわ1号」に乗って人吉へと向かう。特急「くまがわ」は185系。先日乗った「九州横断特急」と全く同じ車両で運用されている。
本当に全くの共通運用な為、ヘッドマークも「九州横断特急」のまま。どこにも「くまがわ」と書かれていないので、知らない人にはちょっと分かり辛いかもしれない。
列車は8時28分に熊本駅を出発。市街地を抜け田園の中へと入って行き、やがて車窓には球磨川の流れが広がる。
ここからはずっと、球磨川の清流沿いに走って行く形になる。
車内では、客室乗務員のお姉さんが乗車記念のスタンプとリーフレットを持って回っていた。せっかくなので一冊貰い、スタンプを押させてもらう。
スタンプも列車紹介も「くまがわ」で無く「九州横断特急」となっているが気にしない。
9時52分。列車は終点の人吉に到着。ここで「いさぶろう」へと乗り換えるのだ。
ホームには大きく、「観光列車いさぶろう号のりば」との看板。
そしてホームには、朱色(古代うるし色)のキハ40(系列)が止まっている。これが「いさぶろう」だ。
ちなみに「いさぶろう」と「しんぺい」は全く同じ列車。下りが「いさぶろう」、上りが「しんぺい」と名前が変わる。
車内は、ウッドを多用した、レトロながらもムーディで洒落た雰囲気。照明が、丸いカバー付きの蛍光灯で、天井回りはクーラーの出っ張りを目立たなくし、扇風機はもちろん撤去、と、この辺りは先日乗った「あそ1962」よりも手が込んでいる。
ボックス座席は、恐らくタネ車の区画をそのまま使っているのだが、背摺りがちょっと高めの木製のものになり、セミコンパートメントぽい感じに。中央部には座席の無いフリースペースがあり、ここは窓が天井方向に大きく広がり、展望を楽しめるゾーンとなっている。
列車は2両編成で、人吉側の車両には自由席が数席あるらしい。「席」と言っても、本当に小さなロングシートがあるだけ、なのだが。
「いさぶろう1号」は10時04分に人吉を出発。ゆっくりと山道を登り始める。ちなみにこの日の乗車率だが、満席。上の写真では空いている様に見えるが、これは帰りの「しんぺい」で人吉駅到着後に撮った為。本当は全ての座席に乗客が座って(しかもその99%が観光客)大変な賑わいだったのだ。
当然、僕の座ったボックス席も、隣にも向かいにも乗客がいると言う状態だったのだが、しかし…こうなると狭いのな。このキハ40のシートって。実際、ボックス席なんて最近は独りで一区画占有と言う状態でしか乗ったことが無いからなぁ。
列車はぐんぐん山へと入って行き、最初の停車駅、「大畑」(「おこば」と読む)に到着。この駅が、世にも珍しいループ線の中にあると言う駅。そして更に、ここは急勾配を登る為にループ線と3段式のスイッチバックとを組み合わせていると言う、なんとも珍しい場所なのだ。
大畑の駅を出ると列車は今までと進行方向を変えて走り、ググッ急勾配を登る。そして、少し行ったところで更にまた進行方向が変わる。車窓眼下には、今登ってきたループ線が見える。
この「いさぶろう」の走る人吉~吉松間は、ほんのわずか数駅しか駅は無い。が、一駅ずつの距離はとてつも無く離れている。それもそうだろう。この区間は肥薩線の中でも「山線」と呼ばれる通り、本当に何も無いただただ山の中を走って行くのだ。
その一駅一駅で、ちょっとした観光タイムの為に数分ずつ停車する。この肥薩線山線は、駅数は少ないものの、そのどれもがちょっとずつに個性的な駅でなかなか面白い。
大畑の次、矢岳駅周辺では、車窓にダイナミックなパノラマが広がる。ここが、日本三大車窓の一つとして有名な「肥薩線の矢岳越え」なのだ。
青空の下、はるか向こうには霧島連山がそびえる。列車は一旦停止をし、乗客達にその車窓を心行くまで楽しませてくれる。ここでは、座席からでは無く、フリースペースの大きな窓からその眺望を目一杯に満喫したい。
矢岳駅のすぐそばにはSLが静態保存されている。駅での停車時間を利用して、見学も出来る。他の客に邪魔されずに写真を撮りたいと言う人はどうぞ、駅へ着いたらダッシュで行くことをオススメします(笑)
矢岳の次、真幸(まさき)駅もまたスイッチバックの駅。3段式のスイッチバックだ。先日の、豊肥本線「あそ1962」で体験した立野のスイッチバックと合わせて、日本全国でも3箇所しかない3段式スイッチバックを全て体験したことになる。
この真幸は「真の幸せ」と書くことで縁起が良い駅と言われ、ホームには「幸せの鐘」なんてものもある。「いさぶろう」の乗客達も降りて、皆、鐘をついていた。(僕もついたが)
また、この日、なぜか外人の一日駅員さん(?)みたいな人がいて、それに地元の観光協会らしき人達もたくさんいて、「いさぶろう」の乗客達を笑顔で迎えてくれる。更に、駅では幸せのご利益がありそうな入場券も売られている。行きの時は気付かずにスルーしたのだが、帰りに乗った「しんぺい」での停車時間でしっかりと手に入れた。
そして列車は11時16分。終点の吉松に到着。ここで「はやとの風」に乗り換えるのだが、乗り換え時間が実にほんの1.2分しか無い。観光列車から観光列車への乗り継ぎとはとても思えない、ゆとりの全く無いダイヤにただただ笑うしかない(苦笑) さあ、向かいのホームに停まっている「はやとの風」へ向かってダッシュ!!







