2008年7月・熊本旅行(2)
- 福岡にて、祖父を訪ねる -
博多に到着すると、色とりどりな車両がホームに停まっていて、ついつい見入ってしまう。
811系と813系。どちらもJR九州の近郊型車両。東京近郊で言うところの211系とかE217系とか、そんなどうと言うことの無い一般型車両なのだが、どこか個性的でユニークな感じだ。特に813系の赤×黒の鮮烈なカラーリングは見る者に強烈な印象を与える。
と、向こうのホームに「ゆふいんの森」が停まっているのを見て、慌ててダッシュ。
まさに「森をイメージした」と言う感じの緑のカラーリングには、落ち着きと優しさとどこか高級感があって良い感じだ。と言うか実はこれだけハッキリした緑って鉄道車両のカラーとしては割と珍しいよなぁ。
列車の周りをうろうろしながら観察していると、客室乗務員のお姉さん(ホームに立っていた)が「お撮りしましょうか?」と声をかけてくれる。せっかくなので一枚記念にお願いしちゃったけど、でもイイのかなぁ。だって俺、これ乗らないし。
さて。今回の旅、目的地は熊本なのだが、今日は熊本方面へは向かわない。代わりに福北ゆたか線(筑豊本線)に乗って飯塚・直方方面を目指す。祖父がそっちの方に住んでいるので、久々に会いに行くのだ。
福北ゆたか線の車両は817系。これまた鮮烈な印象のブラックフェイス。
そして見た目よりも中身が凄い。内装はオール転換クロスと言う、関東近辺の基準を考えればこれだけでも充分に豪華なのだが、そのシートがウッド+レザーと言うもの凄い豪華仕様。たかが近郊型の一般車両にそんなもの使うとは…一体JR九州は何を考えているんだ? と言うかこれもいわゆる「水戸岡マジック」の一例なのか? 何にせよ恐るべし…JR九州。
内装のその他部分を見ると、天井だとか荷物棚だとかはかなりシンプルな造作で、それが豪華仕様の座席と相まってどこかシャープで都会的な印象を受ける。
思えば、筑豊本線なんて、僕が子供の頃はそれこそキハ58だとか52だとか、或いはキハ66・67だとかの国鉄型気動車が混結で走っていたものだが、それがこんなモダンな電車が走る様になったとは…つくづく時代の流れを感じる。
ちなみにこの817系の座席。見た目の豪華さとは裏腹に座り心地はあまり良くなかったりもする。ウッドが薄いせいなのか、普通の素材の座席に較べて、腰掛けているとどこか不安定な感じがしてしまうのは否めない。まあでもそんなに長時間乗車するワケじゃあないし、福北線のイメージリーダーとしての見た目勝負と言ったところで、方向性としてはむしろ正解なんだろう。
あと、この817系。
ハッキリ言ってATSがうるさい。
駅が近付く度にATSの「キンコン・キンコン…」と言うチャイムが鳴り出すのだが、この車両、運転席が普通の車両に較べて開放的な造りになっているせいで、その音がもろに客室に響いてくるのだ。軽く居眠りでもしようかと思ったが音が気になって寝られやしない。
列車は博多近郊の市街地を抜け、田園地帯の中を走って行く。とある駅で降り、そこから更にバスに乗り換え30分ほど。何も無い、田舎町の停留所で降りる。
そこに祖父の家はある。急な坂道(階段?)を登りきらないと辿り着けないところも、周りの風景の何も無さも、家のすぐ裏に山があるところも、古めかしい家そのもののたたずまいも、そして家の中にムカデが這い出てきて肝を潰す思いになることすらも、何にも変わっていなかった。
最後に訪れたのは確か6年ほど前。その時と何にも変わっちゃいない風景。本当に何も無いところに祖父は住んでいるのだが、幼い頃は母に連れられて、毎年夏休みになる度に訪れたこの家。その辺りの何も無い里山の風景。それが僕にとっての「原風景」となっているのだろう。僕は日本の山野の風景が本当に好きでたまらないのだが、その元となっているのは恐らく、幼い頃に見た、この祖父の家の辺りの風景の記憶なんだろう。
辿り着いたのは昼下がり。祖父と叔母が出迎えてくれ、お昼ご飯と、それに真昼間からビールを頂く。久々に祖父達と過ごす時間。もう祖父はかなりの高齢で、前回訪れた時よりも体の自由も効かなくなっている様だったが、それでもこの日は元気で、ずっと僕の相手をしてくれた。
そのまま結局、夜までお邪魔し、最後、帰る時にはつい涙が出てしまった。遠くにいるから、いつでも会えるワケじゃあない。でもこうして訪れれば、幼い頃と同様に優しく接してくれる、血の繋がった親類。
また…またいつか…きっと。また会いに来るから。だからその時まで…どうか元気でいて欲しい。
この日は博多へ戻り、駅前のビジネスホテル「ルートイン博多」に宿泊。祖父の家で散々飲んだこともあり、夕食も取らずにすぐに眠りについた。
さあ、明日からが今回の旅、いよいよ本番だ!!






