2008年5月・初夏の北陸旅行(6) | キハ王子の旅鉄日記

2008年5月・初夏の北陸旅行(6)

- 黒部峡谷の絶景と魚津の忘れられない味 -


欅平駅を出てすぐのところに、欅平ビジターセンターがある。黒部峡谷の自然や生物に関するちょっとした展示があり、また、DVDやスライドの上映も行っている。この日は富山を代表する生き物とも言える、高山の鳥「ライチョウ」のDVDが上映されていて、これが見応えがあってなかなか面白かった。



ビジターセンターを出て歩き出す。この日は欅平周辺は遊歩道の整備だかを行っていて、散策出来る範囲はかなり制限されていた。それでも、周辺随一の見どころスポットとも言える、「人喰岩」までは行けるので、とりあえずそちらへ向かって歩く。


ほどなく、大きな橋に差し掛かる。「奥鐘橋」だ。


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橋の上から広がる大パノラマ。遠くに白い山。立山連峰だろうか。


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橋から下を見下ろすと、澄んだ清流。とても美しい。美しいのだが。


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かなり高い場所から見下ろすので、ハッキリ言って怖い。足がすくむ。高所恐怖症の人とかにはまず無理。


橋を渡り終えて歩いてすぐ、人喰岩に到着。


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遊歩道の上に巨岩(と言うより崖?)がせり出した形になっている。上から石でも落ちてきそうだ。と言うか実際に落石注意って書いてあるから。



辺りをぶらぶら歩いて回り、再び駅方面へと戻る。そして、川辺へ降りる道があるのでそこを辿ってみる。実に、川の間近まで降りることが出来た。


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改めて近くで見ると水がとても澄んでいて美しいのが分かる。周りの新緑も爽やかで、とても涼やかな光景だ。真夏の暑い最中などに見たらたまらない風景だと思う。


釣りをやっている人がいて(恐らく漁師か近辺の宿の人。素人ではなさそうだった)、見ると、イワナだかヤマメだかを釣り上げていた。これだけ綺麗な清流ならば、やはりそういった、川の最上流域に住むサケ科の魚達が生息出来るのだろう。


川面を眺め、空を見上げのんびりと過ごす一時。これで大空にクマタカかイヌワシでも飛んでいれば、なお大自然と言う感じがして良かったのだが、さすがにそこは難しかったか。(近隣に生息してはいる様だが)


川辺から、先程の奥鐘橋を見上げる。


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黒部峡谷の絶景を心行くまで楽しみ、駅へと戻る。これから、10時43分発の宇奈月行き列車に乗って戻るのだ。


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帰りは、窓が付いて座席もきちんとした椅子になっているリラックス客車をチョイス。早起きでテンション上げて遊び回ったせいで早くも疲れてしまい、帰りの車中は景色も観ることも無くずっと眠っていた。


宇奈月に12時02分到着。ここで富山地鉄に乗り換えるのだが、富山地鉄の列車出発が12時07分。乗り換え時間はわずか5分。そして、黒部峡谷鉄道の宇奈月駅と富山地鉄の宇奈月温泉駅は微妙に離れている。と言うワケで、ここで物凄い勢いでダッシュ!! …ちなみに、こんな勢いで走っているのは僕だけだった。他の観光客は皆悠然と歩いている。黒部峡谷鉄道→富山地鉄と乗り換える客って案外少ないのか…?


猛ダッシュの甲斐あって、なんとか列車に間に合った。



富山地鉄の列車は、10030形。元京阪の看板特急、テレビカーだ。朝の元レッドアローに続き、こうも大手私鉄の看板特急を譲り受けるとは…。ある意味なかなかのやり手かも富山地鉄。


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車内はオール転換クロスシート。この転換クロスがゆったりとしたサイズでシートピッチも広く、なかなか快適だ。客も少ないので座席を向かい合わせにし、足を伸ばしてくつろぐ。


さすがは特別料金不要クロスシート車の競争が激しい京阪神でエースを張っていた車両だけはある。うん。




…でも本当は、この車両よりも富山地鉄のオリジナル車両(14760形とか10020形とか)乗りたかったって言うのは秘密。



帰りの黒部峡谷鉄道車内でしっかり眠ったので、この富山地鉄車内では目が冴え、のんびりと風景を眺めて過ごす。富山地鉄、古めかしい駅が多いことに気付く。


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こんな感じの、木造の懐かしい風情の駅が多く残っている。気になる駅で降りて…と言った、途中下車の旅なんかしてみるのも面白かったかもしれない。



列車は、12時44分に新魚津に到着。ここで降りる。時間もお昼時。ここで昼食にする。


駅から歩いてほんのすぐ。ホテル美浪館の一階にある、「海風亭」と言う店に入る。


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そんなに大きくは無い店だが、メニューを見るとなかなかに良さそう。昼間でも定食だけで無く、ちょっとしたコース料理などもやっている。


ホタルイカのコースと言うのが気になり、頼もうと思ったのだが、あいにく刺身が切れていて出来ないとのこと。残念。変わりに、富山湾名物「白海老」のかきあげ天丼を注文。


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ご飯の上に、大きなかきあげが乗っている。サクッとしてほっこりジューシィなかきあげの中には白海老がたっぷり。昨日も食べたこの白海老。あまり大きくは無い海老で、白い姿が美しい。海老…と言うか甲殻類って、大抵は熱を通すと赤く変色するものだが、この白海老は火が通っても白いままで、その可憐な姿が良い。味はどちらかと言うと薄味で控え目。駿河湾で取れるサクラエビに似ている気がする。


付け合せの漬物。これが実は地味に美味い。恐らく自家製のものだろう。


この天丼セットは文句無しに美味かったが、しかし本当に凄かったのは、どうしても気になって頼んでみたもう一品の方だ。



「げんげ」と言う魚の竜田揚げ。この店の名物料理だと言う。


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「げんげ」と言うのは、富山湾で取れる深海魚の一種で、富山では昔から食用にしているらしいが、他の県では食べると言うのをあまり聞いたことが無い。従って、是非とも今回、富山で食べてみたいと思っていたのだ。


竜田揚げなので、当然、外側はカリっとしている。しかしそのカリッと揚がった衣を破ると、中から出てくるのはなんとも表現しようの無いもの。ふわふわっとして、それでいてトロリと口の中でとろける。…なんだこれは!! 今まで全く味わったことの無い食感。とりあえず、普通の魚の食味では無いことだけは明らか。


この魚、皮に普通の魚の様なウロコが無く、それどころかゼラチン質の様なもので覆われているらしい。この不思議な食感は、そこから来るものだろうか。しかしこれが、ただ変わっていると言うだけでなく、味も良いのだからたまらない。サクッ、カリッ、トロリ…。唐揚げの衣と身の食感の対比が面白く、次々と箸が進む。ビールともよく合う。5匹ほどあった竜田揚げ、美味い美味いとあっと言う間に全て平らげてしまった。


ちなみに、店の人に聞いたところ、この「げんげ」の竜田揚げ。頭を切り落とす以外は全て丸のままと言うこと。あまりに柔らかな食感だから、骨は除いているのだろうと思っていたのだが、骨もそのまま入っているらしい。ううむ。ますます不思議な魚だ。



僕は旅へ出かける都度、その土地ならではの変わった肴(魚)を食べるようにしているが、今回食べたこの「げんげ」。これは今まで旅行先で食べたものの中でもナンバーワンの美味さだった。未知なる美味いものがまだまだこの日本のあちこちに眠っている。そう思うとやっぱり旅はやめられない。