2008年5月・初夏の北陸旅行(5)
- 富山地鉄・そして黒部峡谷鉄道 -
2008年5月15日(木) 朝から気持ちの良い快晴。この日はいよいよ、今回の北陸旅行の一番のメインとも言える、黒部峡谷鉄道に乗りに行くのだ。
朝5時前に起き、早々に仕度を済ませ、ホテルをチェックアウト。どうせなら少しでも遊ぶ時間を増やそうと、思いっきり(無茶な?)早起きをして行動することにしたのだ。
早朝の電鉄富山駅。ここでまずは、富山地鉄の宇奈月温泉行き普通列車に乗る。
5時35分発の宇奈月温泉行き。車両は16010形。元西武鉄道の特急車「レッドアロー」だ。
車内は幾分くたびれた感じがするものの、横引き式のカーテンにリクライニングシートと、さすがは元大手私鉄の看板特急の貫禄充分。座席は大きく、シートピッチも広いのでかなりゆったりとくつろげる。…ただ、このリクライニングシート。当然、回転式なのだが、今の車両の回転式シートの様に回転レバーが付いているのでは無く、座席本体をグッと押して回す仕組みになっている。これがちょっとコツと力が入るので大変…。この辺り、時代を感じると言うか何と言うか。
早朝と言うこともあって、車内はガラガラ。座席を向かい合わせにして、足を伸ばしてのびのびとくつろぐ。
列車は途中、寺田で進行方向を変え、のんびりとした田園風景の中を走っていく。
車内は相変わらず、ガラ空きのまま。1車両にほんの3,4人しか乗っていない。
どれくらい走っただろうか。それまで平野の中を走っていたのが、突如として山の中へ列車は入っていく。そして、7時09分。終点の宇奈月温泉に到着した。
まるでロッジの様な宇奈月温泉駅。駅前には温泉街が広がっている。
駅を出て、そのまままっすぐ数百メートル歩くと、黒部峡谷鉄道の宇奈月駅。
ここからいよいよ、トロッコ列車へと乗り込むのだ。
時刻表を見ると、次のトロッコ列車は7時32分発。が、この列車は「全車リラックス車」となっている。黒部峡谷鉄道の列車は、一口に「トロッコ」と言っても実は「普通車」「特別車」「リラックス車」「パノラマ車」と分かれている。そして、「普通車」以外は全て特別料金が必要なのだが、いわゆる「トロッコ」らしいトロッコ列車は「普通車」なのだ。他の客車は全て窓が付いているのだが、「普通車」だけは窓の無い、オープンタイプの車両となっている。
せっかくの黒部峡谷鉄道。どうせなら、窓の無いオープンタイプの車両で、風を、空気を、直に感じたい。と言うことで、この列車は見送り、次の7時57分発の列車を待つことにする。
宇奈月駅構内には土産物屋などがあり、ぶらぶらと見ながら時間を潰す。トロッコ列車(機関車)の可愛らしい玩具があり、つい買ってしまった。
さて。時刻は7時50分近く。僕の乗車するトロッコ列車の改札が始まり、ホームへと降りる。
可愛らしい電気機関車が重連でやって来る。そしてその後ろにはトロッコ客車が何両も連なる。
屋根こそあるものの、窓は無く、座席も簡素な長いすが並んでいるだけ。正真正銘の、オープンタイプのトロッコ列車だ。
オフシーズンの平日、更に早朝と言うこともあってか、乗客はさほど乗ってはいない。僕の乗った客車には僕の他に3人ほど居たくらいか。しかしこれが、夏休みだったり紅葉のシーズンになると、満席に近い状態になるのだろうな。
出発前、ホームには売り子さんがやって来て、飲みものやお菓子などを売っている。このトロッコ列車、車内販売こそ無いものの(と言うか不可能)、さすがは観光鉄道。出発前にこうして売りに来るワケだ。
7時57分、列車はゆっくりと動き出した。僕の乗った車両は2号車。前に1両客車を挟み、そのすぐ前は電気機関車。機関車の低いモーターの唸りが直に響いてくる。
列車は宇奈月を出て、すぐに鉄橋を渡る。かなり高い場所を走り、はるか下に川の流れが見える。窓の無い車両からのその眺めはスリル満点。
そしてここからはもう、雄大なパノラマと絶景のオンパレードだった。山の中を縫って走るので当然、トンネルも多いのだが、そのトンネルをくぐり抜ける度に目の前に絶景が広がるのだからもうたまらない。目もカメラも一時も休めやしない。
山の中を縫って走る路線、と言うことでは、以前乗ったことのある大糸線南小谷以北とどことなく雰囲気は似ている。しかし、それよりももっとずっと変化に富んだダイナミックな光景が広がる。
藍の水面に映る赤い橋、意匠を凝らした発電所の建物。この黒部峡谷と言う土地の役割を示すダム。雄大な川の流れにそびえ立つ山の残雪…。全てがとにかく美しく見えた。陳腐な言葉で申し訳無いが、素直に「感動」した。風景に言葉を失い、目から涙すら溢れそうになる…こんなことは初めてだ。
さすがは黒部峡谷鉄道。その絶景は噂に違わぬ、素晴らしいものだ。来て良かった。そしてやはり、昨日の小雨の中無理に決行せず、今日のこの、快晴の日を選んで大正解だった。
…だが、しかし。それは良い。それは良いのだが。
あの…めっちゃ寒いんですけど(涙)
もうね。とにかく寒い。ハンパ無く寒い。高原を走る鉄道でオープンカー。と言うことで当然、下界よりは幾分気温が低いことは覚悟し、一応余分に着てきたつもりだったけど…全然足りなかった。とにかく空気が冷たいのだ。列車が駅に停まるとさほど気温は低く感じないのだけど、走り出すととたんに風が冷たい。そして何よりトンネル。入った瞬間に冷気を感じ、それが容赦無く体を冷やし尽くす。幾ら余分に着てきたとは言え、所詮は春夏の服装。これでは到底太刀打ち出来ない。冬の服装で来ても良かったくらいだったorz
絶景に心が震え、その一方では寒さに体が震え。そして9時12分、終点の欅平に到着した。
さあ。せっかくなので周辺散策とでも行こうか。








