2008年5月・初夏の北陸旅行(4)
- 金沢観光(後編)/富山での一夜 -
21世紀美術館の鑑賞を終え、すぐ隣にある「金沢能楽美術館」 へ。
名前の通り、「能楽」にまつわる美術館。ガラス張りの近代的な建物とは裏腹に、展示内容はとにかく渋い。1Fは能の舞台を模した展示室の中で、能の専門的な用語だとかが色々解説され、2Fは能で使われる着物や面、小物類が展示されている。
能なんて今まで全く興味が無かったが、少しだけ観てみたいと言う気になった。もっとも実際に観たら途中で寝そうな気がするが。
さて。次はいよいよ。金沢観光では外せない、超有名どころのスポット「兼六園」。
21世紀美術館から歩いてすぐのところにある。(もっとも、出口を間違うと遠くなるが。と言うか迷った)
春夏秋冬、四季それぞれの表情を魅せる兼六園。中でもベストシーズンは、白く雪化粧をまとった真冬か、木々が赤く色づく秋だと思うが、しかしこの、初夏の新緑もなかなかに良いものだ。庭全体が緑に染まる。木々の緑、草の緑、苔や池の緑…。
たっぷりと時間をかけ、ぶらぶらと兼六園の中を散策する。昼下がりのいい陽気の中、風情ある庭園の中を歩くのはとてもいい気分だ。
園内には、幾つか茶室がある。せっかくなので、そのうちの一つで抹茶を頂く。
趣きのある、古い建物の中で、庭を眺めながらお茶を頂く一時。ゆったりとした時間が流れる。そこには「和」の安らぎがある。…ああ、日本人に生まれて良かったなぁ。
兼六園を観終わった後は、タクシーに乗って一路、東茶屋街へ。この時のタクシーの運転手が面白い人で、金沢の街のあちこちの場所の地名の由来だとかを色々、面白おかしく話して聞かせてくれた。
東茶屋街は、その名の通り、昔の「茶屋」があった界隈。昔ながらの木造の建物が立ち並び、なんとも風情のある街並みだ。
建物のうちの幾つかは、昔、実際に「茶屋」として使用されていたもので、中には内部を見学させてもらえるところもある。
今回、「志摩」「懐華樓」と言う2軒を見学させてもらった。
外観のみならず、内部も昔のままだ。古い建物だから、歩くと床がきしむ音がしたりで、ちょっとドキドキする。
ところで、この「茶屋」と言うものは、僕はてっきり遊郭みたいなものだと思っていたが、どうやらちょっと違う様だ。芸妓さんと遊ぶ場所ではあるが、「遊び」と言ってもそれは例えば和歌だったり舞いだったりと、特殊な技能・知識を要求されるもので、芸妓さんはその技術を磨く為に精進を重ね、また茶屋へ通う旦那衆も、風流を解する心と教養とを身に付けていなくては芸妓さんの芸を楽しむことが出来ず、一生懸命に勉強をしたのだとか。
つまり、下卑た色町などでは決して無く、むしろある種高尚な、文化人達の集う場だったとも言えるだろうか。
「志摩」では奥に雰囲気の良い茶室があったので、兼六園に引き続き抹茶を頂き、また「懐華樓」は偶然にも団体客と居合わせた為、女将さんから直に建物の説明だとかを聞くことが出来た。ちなみにこの「懐華樓」、現在でも夜は茶屋としての営業を行っているそうだ。
しかしこの東茶屋街、本当に風情の良い街だ。出来ればこの辺りに宿を取り、ここらの感じの良い料理屋で一献、と言うのも良かったかもしれない。
これで金沢での観光は終了。再びタクシーに乗り、駅へと戻る。この時の運転手がまた面白い人で、僕が九谷焼の杯を買ったという話をしたことから、すっかり日本酒と器の話で盛り上がってしまった。金沢のタクシー運転手は、とても感じの良い人が多い気がする。
金沢からは普通列車に乗って富山へ戻る。17時38分発の普通列車。車両は455系(恐らく)。
今となっては貴重な…と言うかもはや絶滅危惧種寸前の急行型電車。向かい合わせのボックスシートが並ぶ車内はなんともノスタルジック。
意外と編成が長く(6両くらいか)、金沢寄りは結構な乗客がいたが、富山寄り先頭車まで行くとガラガラだった。
富山に18時36分到着。駅前のビジネスホテル「ルートイン富山」にチェックインを済ませ、再び外へ出る。これから夕食を取りに行くのだ。
まずは富山駅の地下通路を抜けて北口へと出る。ここからライトレールに乗る。
富山ライトレールはいわゆる「路面電車」だが、昔の路面電車の様な古めかしいイメージはまるで無く、清潔でモダンな、今風の電車と言った趣きだ。路面電車には珍しく、車内はクロスシートになっている。
途中、富山から3つ目の駅くらいまでは路面を走り、そこから先は専用軌道になる。この辺り、昔乗ったことのある、名鉄の美濃町線を髣髴とさせる。(もっとも美濃町線は路面区間がもっとずっと長いが)
富山から15分くらい電車に乗り、蓮町と言う駅で降りる。ここから歩いて3,4分ほど。「四十萬亭」と言う店に入る。
刺身盛り合わせ、富山湾名産白海老の唐揚げなど色々頼んだが、一番良かったのは、この店名物と言う「白海老饅頭」。白海老の身をすりつぶして丸めて揚げたものに、トロリとした餡がかかっている。外はカリッ、中はほっこりトロリ。その感触の対比が素晴らしい。付け合せに添えられた蓮根の素揚げも香ばしく、また、フレンチ風の盛り付けが目にも楽しい。
カウンターで独り日本酒を飲みつつ食べていると、店の人が突然、「サービスですから」と一皿差し出してくれた。何でも昨日だか今朝だか取ったばかりのワラビを、昆布出汁で軽く味付けしたもので、これが非常にサッパリとしていて美味。更にどういうワケか、ゲソの唐揚げまでサービスで出してくれた。おかげですっかり満腹。満足。何より、旅先でのこんな親切にめぐり合えるのは本当に嬉しい。なぜか僕、旅先で入る店は単に味が良いと言うだけで無く、こんな親切をしてもらえることも多い。
こうして、散々飲んで食べて、北陸での一夜は過ぎて行くのだった。















