2008年冬・秋田の旅(4) | キハ王子の旅鉄日記

2008年冬・秋田の旅(4)

- 憧れのキハ58(夜編) -

秋田駅到着後、駅構内を色々見て回り、土産物屋などを覗いて時間を潰す。


そして17時半くらいに、鹿角花輪行き快速列車(3969D)が発車する3番線ホームへと降りて行く。まだ、ホームには乗客の姿もまばら。


思えば、半年ほど前に仙台へキハ28の快速「南三陸」に乗りに行った時は、列車到着の30分前にはもうホームに行列が出来ていた。(別に「鉄」とかで無く、通勤通学など純粋な利用客で) 勿論、僕は事前に「南三陸」は結構混み合うという情報を得ていたので、かなり早く(到着1時間近く前)からホームに並んできちんと席にもありつけたワケだが。


今回もそのつもりで、早めにホームに来たのだが、そこまで心配する必要も無かったか。


しかしこの鹿角花輪行き快速。3両編成でやって来ると言う情報は得ているのだが、ホームのどの辺りに止まるのかがよく分からない。駅員にも尋ねてみたが、イマイチ要領を得ない。「売店のある辺りに停まるよ」などと言われたのだが、どうも嫌な予感がして、そこよりも少しホームの前寄りに立って待つことにする。後になって思えば、この選択が大正解だった。案外とこういう予感と言うのは当たるものなのかもしれない。


時間は17時50分頃。ふと気が付くとホームにはかなりの行列が出来ていた。僕の後ろにもかなりの人が並んでいる。(僕は一番先頭) 



そして17時59分。ホームにゆっくりと、快速鹿角花輪行きが入線してくる。


そう。いよいよ本日の、いやこの旅のメイン。キハ58の到着だ。


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久々に…実に久々に見るキハ58の顔。凛々しい…凛々し過ぎる。同じ旧型気動車でもキハ52などの無骨な面立ち(あれはあれで勿論大好きだが)とは異なり、端正で整ったその顔立ちには洗練された工業美すらも感じる。


そしてまた、この「よねしろ」カラーが良いのだ。これは僕の個人的な意見なのだが、ハッキリ言ってキハ58には国鉄急行色は似合わない。オレンジ濃淡のあの塗り分けはあまりに郷愁じみてて、キハ58のスマートな風貌にはちょっと違和感を覚える。(逆にキハ52には似合い過ぎる) 


それよりもキハ58には、例えば「南三陸」カラー(東北色)の様な、どこか都会的でシャープさのあるカラーリングの方が似合うと思うのだ。


この「よねしろ」色の、クリームと深い緑と言う組み合わせは、東北色の様にシャープでは無いが、しかしどこか優しさを感じさせるその色合わせは、キハ58のスタイルの洗練さを充分に引き立てる素晴らしいカラーだと思う。



…まあ、もっとも、単に僕が「緑」と言う色が好きなだけかもしれませんがね。東北色と言いよねしろ色と言い。



さて。


このキハ58の3両編成だが、僕が並んでいたちょうどその場所へ、3両編成の最後尾の運転台寄りドアが停まった。



…と言うことは、つまり、だ。それより後ろ側には列車は停まらない。

つまり、つまりだ。ホームの売店のある位置に立っていたらそこには列車来なかった!! 


…危なかった。自分の「予感」を信じて本当に良かった。

て言うかいい加減な案内してんじゃねぇよ秋田駅のクソ駅員め!!!

実際、騙された(?)のか売店の辺りに並んでいて、列車がそこまで来ないと分かってから慌てて他の列の後ろへ走る人達いっぱい居たよ全く…。



まあ、とりあえず、最前列に並んでいた僕は問題無く席に座れたので良かったが。


しかし車内は満員。通勤通学客で相当な混雑。以前乗った「南三陸」と言い、やはりこの時間は混むのだろう。と言うか「南三陸」の比じゃないよこの混み具合。席は全て埋まり、通路も人でふさがり、デッキにも人が溢れている。ああ…せっかくのキハ58なのに旅情も何もあったもんじゃあない(苦笑)



18時10分。鹿角花輪行きの快速列車は秋田駅を出発。ゆっくり、ゆっくりとホームから走り出す。


と、たまたま僕の座った席がエンジンの真上だったのか、エンジン音が凄いことになっていてたまらなく萌え。ブルルルル…ガガガガガッ!!とかなり力強いエンジン音を響かせながら加速して行くのだ。このキハ58のエンジンは恐らくオリジナルのDMH17Hではなくカミンズなりどこぞなりに換装されているのだろうが、しかしこれだけ心地良いエンジンの響きが聴ければ満足満足。


思えば、「南三陸」のキハ28はここまでエンジン音が大きくなかった気がするのだが…やはり1エンジンと2エンジンの違いか?


そして、エンジン音ともう一つ、気動車ならではの(電車には無い)お楽しみ。秋田出発直後、車内にどこからか漂ってくる軽油の匂い…。これこれ。これがたまらないのだよ。なんか凄い萌える。(注:僕は決して匂いフェチでは無い)


エンジンの唸りに独りニヤニヤ、オイルの匂いに独りニヤニヤ、そして何より、憧れの気動車に乗ったことで何もせずともただ座席に座って独りニヤニヤ。






…どっからどう見ても変態ですね。


ええ。確実に怪しい客だったと思います。






さて。


秋田を出た列車は、快速とは言え割とこまめに停車をしていく。そのどれもの駅で、少しずつ乗客が降りて行く。逆に、乗って来る人はほとんどいない。


八郎潟で立ち客が無くなり、東能代で空席が目立つ様になってくる。


車内も空いてきたので、ここでちょっと車内を見学。


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車内は簡易リクライニングシート。これは快速「南三陸」のキハ28と同じ。と言うか、この「よねしろ」車と「南三陸」車は元々同じグループらしい。窓枠を見ると、寒冷地仕様なのかテープで止められている。すきま風防止か?


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僕が乗ったこのキハ58、3両編成の1号車(秋田寄りなので最後尾となる)だが、車両番号が「キハ58-23」とある。これは現役最若番らしい。つまり、現役で残るキハ58の中で一番古いヤツってこと??(どうもこの車両番号の数え方がイマイチ良く分からない)



列車は19時51分に大館に到着。ここで進行方向が変わる為か、10分ほどの停車。せっかくなので、降りて写真を撮ることにする。


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雪に埋もれたその姿が、ここまでの道のりの険しさを物語る…。


さて。写真を撮っていると、他にも数人同様に写真を撮っている人達がいた。本格的に三脚を構えて撮っている人もいる。(僕はコンパクトなデジカメだが) 恐らく皆少なからず「鉄」な人達なんだろうが、やはりこのキハ58と言う古い車両にどこか思うところがあって、ここまでやって来たのだろう。


そのうちの一人が話しかけてくる。

「この先も乗っていかれるのですか?」

「ええ。僕は終点まで。ここで降りられるのです?」

「いや…この先の日程上、ここで降りないと難しくて…」

彼はちょっと残念そうだった。やはり、キハ58との別れが惜しいのだろう。



大館を20時ちょうどに出発。ここから列車は花輪線に入る。普通列車となり、車内には乗客の姿もほとんど無くなり、もはやどこからどう見ても純然たるローカル輸送。秋田出発後のあの混雑ぶりがまるでウソの様だ。


自分の前の座席を回転させ、ワンボックス丸ごと贅沢に使ってくつろぐ。空いている列車だと、こういうことが出来るのがいい。


その後、十和田南で再び進行方向が変わり、そして秋田を出て3時間弱。20時58分に終点の鹿角花輪に到着した。



キハ58にまだ別れは言わない。だってまた明日の朝、会いに来るから。


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この日の宿泊は、鹿角パークホテル 。駅から歩いて5分もしないところにある。馴れない夜の雪道を歩くのは(滑りそうで)怖かったが、近い場所なので助かった。


ホテル自体はごく普通の、綺麗なシティホテルと言った感じ。部屋はシングルでさほど広くは無いが、一晩過ごすには充分だ。だって寝るだけだし。


ところでこのホテル。部屋には当然テレビがあるのだが、なぜかT○S系列が映らない。しかもその旨「映りません」としっかり明記もされている…。


まさかT豚S排除とは…やるなこのホテル。


ホテルオーナーはきっと2ちゃんねらに違いない!!(え



腹も減っているので、早々に部屋に荷物を置いて夕食を食べに行く。最初は秋田ならではの、郷土料理でも…と思ったのだが、馴れない道を歩くのもイヤだったので結局、ホテルの人に聞いてすぐ近く(と言うかホテル目の前)の居酒屋へ入る。


地元の人が通う店と言った雰囲気の、あまり大きくない店だったが、なかなか感じは良さそうだ。


カウンターに案内され、適当に色々と注文する。カニの味噌焼きと、アナゴの天ぷら。それにタラの白子鍋。そして勿論、日本酒。秋田の地酒だ。


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どれも丁寧な味付けでなかなかに美味い。特に鍋はいい。ダシはあっさりしているが、中に入った白子が濃厚な旨味にボリュームもあり、心も体も暖まる。やはり寒い中、鍋料理と言うのは本当にありがたい。


カウンターの中にいた店員さん(なかなかイケメンなお兄さん)が色々と気さくに話しかけてきてくれるので、喋りながらついついお酒も進む。


こんな風に、全く知らない土地で、あえて観光客向けの店じゃなしに、地元の人が行く店で独り飲むと言うのも、なかなかにオツなものかもしれない。


鹿角花輪での一夜はこうして更けていく…。