ケイタとの最後の仕事を終えた帰り道。

私たちは、

同じ景色を見ていた。

違う角度から同じ桜並木を。

ピコンとLINEがなり

夕焼けと桜並木の写真。

続けて、

「愛してるから、辛い」

メッセージがきた。





私もだよ。辛い。

愛してるなんて、

今この瞬間の気持ちでしかないって

わかってる。

また、しばらくしたら

お互い別の相手に言うかもしれないことば。

それでも、それでも、

このことばに私の何かが崩れた。

「〇〇で待ってて!」

私が送った。

コロナで閉館中のテーマパークの駐車場。

そこで、私たちは再会した。




あれから、

仕事以外で会うのは初めて。

家で待つ家族が気になりながらも

会いたい衝動を押さえられなかった。

そして、ケイタの顔を見る。

あーやっぱり大好きだ。

人目のないところで会うのは久しぶり。

私たちは何度も唇を重ねた。

そして、キツく抱きしめた。





そして私が、伝えたのは、

「1ヶ月は連絡とらないでおこう」

…ということば。






このまま連絡を取り続ければ、

会いたくなるに決まってる。

でも、もう連絡しないとも言いたくない。

しばらく冷静になる時間がほしい。

ケイタがなんて言ったのかは

覚えていない。

最後の悲しい顔だけが目に焼き付いている。

そして、その帰り道、

ケイタのこと以上に考えていたのは、

家で帰りが遅いことを心配している

旦那のことだった。