「SHI-YOが今まで我慢してたこと

よくわかってる。

SHI-YOが嫌やって言ってることは、

自分自身も嫌なことで、

変えたいけど変えられなかった。

大事な人に、

なんでこんな思いさせてるんやろうって

思ってた。

(不倫したことは)

自分にも責任あると思ってる。

本当にごめん。」





私を震える手で抱きしめながら、

旦那は言った。





そして、

いつからか

相手が誰か

気になると旦那は言ったが、

私が言いたくないと言ったら、

それ以上、追求してくることはなかった。





それどころか、

「SHI-YOが好きになった人なら

ステキな人なんやと思う。」





半泣きでそう言う旦那のことを

心からカッコイイと思った。

優しいけど、いつも淡々としていて

気持ちが読めない旦那からも、

ずっと愛されてたんだ…。





そして降参した。

もうこの人に嘘はつきたくない。

嘘をついて、その場だけの幸せを

積み重ねたところで、

私の心が満たされることはない。

それを痛感した。







うん、でもね。

ケイタと旦那を天秤にかけたわけじゃなく、

私は、ケイタと出会ったことで、

『恋をする』ことの喜びを

思い出してしまった。

目の前の景色が180度変わってみえ、

全てが色鮮やかになる。

きゅーんとなったり、

ワクワクしたり。

存在する喜びだけで、

やる気がみなぎってくる。

いいことばかりじゃないけど、

心底自分の気持ちが揺さぶられる。

愛しさが溢れて涙が出る。

そんなことを思い出して、

「はい、もうしません」

と、即答はできなかった。

それ以上に、旦那にもそんな経験をしてほしい。

そんな風に思って、

家庭は家庭で大切にしながら、

お互いに自由に恋愛できないか聞いてみた。










答えは、


 『NO』





私はその日、話終わって

ケイタにLINEを送った。