人には誰しも癖や性というものがあります
そういった癖や性はなかなか無くすことは出来ず、決まってそれらは本人にとって恥ずかしいものや汚点であったりするわけで。。
皆さんにもそういった癖や性の1つや2つあると思います、いいえ答えなくて大丈夫ですよ、言わずとも分かります
彼(彼女)の名前は纏、お菓子です
このお菓子が今回僕の性を呼び起こしたのでございます
ときは3月下旬、場所は羽田空港
僕は鹿児島に向かうために空港ターミナルにおりました。
チェックインを済ませたあと、お世話になる方にお菓子を買おうと様々なお土産売り場を見ておりました
その中で出会ったのが纏でした。黒船というメーカーのお菓子です
黒船といえばカステラを中心に扱う和菓子屋さんで、包装もお菓子もオシャレなイメージで、よく贈り物で利用させて頂いておりました。
とはいえ僕は恥ずかしながら黒船の商品はあげる一方で、自身は今まで1度も口にしたことがありませんでした
纏というのは比較的最近できた新商品のようで、従来のカステラに卵白を足してジューシーさを出し、更にザラメを全体にまぶすという、スティックタイプの新カステラというような感じです。大きさは小さいながらも、1つ当たり400円を超えるなかなかの代物です。
僕はこの商品のことを知りませんでしたから、
「よし、ひとつこの洒落物を買って行こうではないか、WAHAHA」
そう思い、ペリー提督ばりの厳かさで売り場の店員さんに纏を注文しました。
会計を済ませると、明治の町娘さながらの店員さんはテキパキと纏を包装し、「御礼」ののし紙の用意をしてくれていました。
町娘の仕事を待つ間、ペリー提督はある立て札を見つけます。そこに書かれていたのは
『ただいま纏のセットをご注文頂いた方、黒船のInstagramをフォローくださった方に纏を1本プレゼント』
「What ! 纏を注文してインスタフォローすると400円超えの纏を1本プレゼントだって！？」
提督の動悸は高まった、遠くニュージャージーだかニューヨークにいる祖父だったら発作を起こすほどの高鳴りだった
ちらりと売り場に目をやると、町娘はいまだ包装紙を巻きつけ、のし紙を貼る準備をよそよそしくしていた。まるでペリー提督が立て札を見て内心狂喜乱舞しているのを気付いていないかのように。素晴らしい配慮である。これがクールジャパンかと提督は感心した
「・・・まぁ、包装が終わるまで時間もあるし、お客さんに渡すものを自分が食べたことないというのも良くないよな、うん」
今まで黒船商品を食べたこともないくせに、大義ここに見つけたりと恭しくポッケからスマートフォンを取り出し、提督は黒船のフォロー作業を始めた
断っておきますが、口を大にして言っておきますが！決して1本プレゼントの立て札を先に見つけたから纏を注文したわけではありません。
あくまで注文して会計を済ませた後に、たまたま、そうたまたま立て札を見つけたのです、皆さん門違いなされまするな
かくしてフォローが完了した。
時を同じくして町娘が包装とのし紙を貼り終えて提督の前にやって来た。まるで何も知らないかのように現れた町娘に提督は改めて感服した。本国に帰ったら日本人は勤勉なだけではなく、空気を読む人々だと故郷のニューオーリンズだかニュー塩原の祖父に報告しようと思った
そして遂に
「あのぉ、これ」
心で満面の笑みを、表情はポーカーフェイスでインスタフォローしたスマホ画面を見せる提督。画面を凝視する町娘
これで纏が手に入る、いやはや偶然とはいえありがたや
「あのぉ、お客様、こちらの商品をお求め頂いているのでインスタフォローをしなくても纏はプレゼントさせて頂きますが・・」
WHAT！ えっ！？どゆこと?
もしや、もしや、「纏のセットを買う。かつインスタフォロー」ではなく、「纏のセットを買う。またはインスタフォローのどちらか」だったのかぁ！！
恥ずかしさのあまり震えの止まらない提督。
見かねた町娘、手負いの獣に慈悲をみせるがごとき眼差しで
「お、お客様・・・」
「・・・知ってましたよ」
「えっ?」
「いやいや、僕はかねてより黒船の商品のファンでしてね。だから時間があったからちょうどインスタフォローをしようと思ってですね！ははぁ、なんとまぁ纏までプレゼントしてもらえるとはラッキーラッキー」
「そ、そうでしたか！いつもご愛顧頂きありがとうございます」
知ってたのならなんでスマホの画面をいちいちあんたは見せてきたんだ、その言葉を噛み殺して町娘は日本人の鏡として振る舞った
提督は修行僧が滝に打たれた後かのような水浸し状態でその場を去ろうとしたその時、
「お客様！！」
「ひゃ、ひゃい！ななななんでしょう?」
なんだ、この期に及んでいったいなんだ！？
今や老人のように折れ曲がった提督の背中とその自信に対してこれ以上のダメージを与えないでくれっっ
「のしの但し書きを間違えてしまいました。お礼ではなくお祝いにしてしまいました。お直しします」
「そ、そうですか！HAHAHA、このままで大丈夫です。それじゃ失礼します〜」
「あっ、お客様ー 」
提督はその場から慌てて敗戦の撤退をした
よりによって御礼が御祝だなんて、
そうか、わたしが纏1本に踊らされておめでたい奴という意味か。などとマイナス思考に陥る提督
人には誰しも癖や性というものがあります
そういった癖や性はなかなか無くすことは出来ず、決まってそれらは本人にとって恥ずかしいものや汚点であったりするわけで。。
皆さんにもそういった癖や性の1つや2つあると思います、いいえ答えなくて大丈夫ですよ、言わずとも分かります
しかし、そんな癖や性こそがその人の魅力でもあるのです。そう思わないとやってられないのです
ちなみに纏は深い甘みとジュワッとする感触で美味しゅうございました
ありがとう黒船、ありがとう纏、そしてありがとうわが悲しきSAGA
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