何度か、いらしていた女性は
ある日ふとこう言う
おかしいでしょう
自分でもそう思うの
あの人との結婚を破談にしたのは、私のほうからなの、、、
あの時、、結婚直前だったの
あの人の家は、母子家庭で苦労したらしく
質素だった
その夜も泊ったの
朝になって、お母さんは私にお茶を
入れてくれたの
出されたマグカップ 夫になる人と自分の分と
私のも
私のマグカップだけが、少し欠けていたの
そのマグカップの欠けたのを、見たとき
結婚をやめようと思ったのよ
それから仲人さんと話をして
向こうから断わるふうにしてもらって結婚を
やめたの
いつもこの話を思い出すとき
情景が見える
朝のひかりに浮かぶ、かけたマグカップの