9月1日から7日にかけて党の観光政策調査チームでイタリアを訪問し、観光政策について調査を進めました。イタリア中部のシエナ、ペルージャ、アッシジ、ローマ。各都市には数千年単位の年月をかけて育んできた街の景観、同じく斬新な農業政策で育んできた美しい郊外の田園風景。今の日本にはとても参考になる価値観が盛りだくさんです!
■ 外国人観光客
年間日本から外国への旅行者は1600万人、一方外国から日本へは500万人前後。そこには約1000万人の観光客赤字が存在しています。もちろん為替など様々な問題が背景にあるにせよ、一度私たちは、外から見て、日本という国を一度は行ってみたい、訪れてみたい、魅力的な国として、街として育んできたかどうか、振り返る必要があるような気がします。これは大きな経済損失であると同時に、私たちの精神的な自信や誇りとも深く関わっているような気がするのです。
■ 街の景観
中部の町シエナはイタリアでもいち早く、車の乗り入れを禁止。歩行者が自由に中世の町並みを散策しています。街の景観を守るため、建物の外観の変動には厳しい規制が課せられ、逆に、町並みに沿った外観補修には補助金が交付されています。国内でも千葉県の佐原の町並みがそうした施策で個性と伝統を取り戻しつつあります。つまり、「建物の外観とはもはや純然たる個人資産ではなく街並みという公共空間を構成する”公共物”」そうした価値観が息づいているのではないかと思うのです。
■ 郊外の田園風景
一方今回の調査の主眼のひとつでもある郊外の農業政策。イタリアでは農家が農村民泊(アグリツーリズム)に耐えられる家屋改修を行う場合、約1500万円の補助金が交付されます。こうした形でいわば貸し別荘を営むことにより、農家の所得向上を図り、ひいてはイタリア農業の振興、農村の発展を目指すものです。イタリアをはじめとしたヨーロッパではこの他農家への直接所得保障を十分に行い、農業の振興と国際競争力の強化に努めています。
■ 農業とは
つまり!農業とは工業やサービス業に比べれば生産性が低く、工業化・都市化の近代の歴史の中で放置すればすたれてしまうもの。そして一方で郊外の田園風景は荒れ、食料生産は脅かされ、地域経済は弱り果ててしまう。。だから農業とは税金を投入してでも守り、育まねばならない基幹産業。そうした価値観を日本でも確かなものとして確立せねばなりません。
それにしても陽気で明るいイタリア人。人生を、生活を楽しむ達人たち。観光政策にも、農業政策にも、結局は、人間の幸福をどう見るのか、その幸福観に対する独特のバランス感覚が息づき、働きかけているような気がしてなりません。イタリア関係者の皆様、ありがとうございました!