釣りはつくづく宝探しだと感じる。
どんな魚であっても、自分の思うポイント、タイミングで見つける宝は違って来る。
自分の狙うお宝が何所に眠っているか、自分の感覚と足を頼りに探し回る。
これが、釣りの一番の楽しみなんだと思う。
もちろんその過程で出会う、人々との繋がりや会話は、自分の経験や知識となると共に、楽しい時間を与えてくれ、宝物の価値を上げてくれる。
今回、一緒に宝探しをしたのは同僚の「ウメ」。
今年初の釣りと言う事もあり、張り切っていたが、プレッシャーの高さから中々魚を出せずに苦戦していた。
私は、渋いながら反応するレンジを刻み、アクションを探し出し、ポツリポツリ魚を出していく。
一番多かったのは「ヒカリ」。
数は1時間半足らずで、二桁オーバー。
数は釣れたが、納得は行かなかった。
8時を過ぎると、川は人で溢れていた。
人の間を縫って入渓すると、綺麗なアメマスが釣れた。
真っ白なお腹はふっくらとし、コンディションの良さを物語っていた。
その後、すぐ先には先行者。
その日は暖かく、穏やかな小春日和。
これでは先行者も多い筈だ。
私たちは、人を避けるように山奥へ入り込んで行く。
昼を過ぎると、曇って来た。
湿度も高くなり、小雨がぱらつくように・・・・・・
これに釣られ、魚達のライズが始まった。
私たちは興奮を抑えられず、昼休憩もそこそこに、渓を登った。
すると、間もなく良いイワナが出てくれた。
尺には到達しなっかったが、長さは9寸程度。
その後、衝撃的なバイトが私を襲った。
ロッドを大きくしならせ、首を振るたび大きく叩かれるロッド。
首振りの次は、いきなりの猛ダッシュ。
これには驚いた。
一気に伸されるロッドと一気に高回転するドラグ。
すると、あっけなくルアーが外れた・・・・・・・
何が起こったか分からないが、この一瞬は二人の時間を止めた。
私はがっかりし、下を向くと「まだいるかもよ!」とウメが私を励ましてくれた。
同じポイントに投げ入れると、思いもよらないゲストと出会う事が出来た。
岩手の渓にもこの魚が居るのか・・・・・・
もしかしてさっきのも・・・・・・・
そう感じずには居られなかった。
そこから更に上流を目指すと、またもや良いイワナが。
優しい顔の尺イワナが出てくれた。
このイワナには驚いた。
キャストし、着水すぐにバイトしてきたため、リーリングが間に合わなかった。
活性が非常に高かったのだろう。
その後もバイトが止まらず、イワナを次々と釣って行った。
そんな中、ウメの声がこだました。
「デカイ!!」
振り向くと、大きな水柱と共に、大きな尻尾が見える。
40センチは軽く超えている魚体だった。
しかし、慌てた彼は強引にやり取りしたせいか、フックオフ。
彼自身見た事も無いサイズに完全に焦り自分を見失っていた。
次は是非リベンジしてほしいと思う。
私は、彼の魚を見て集中を高めた。
帰りの時間が迫って来た、午後3時。
遂に奴はやって来た。
イカツイ顔。
たくましい魚体。
こちらを睨む鋭い眼光。
カッコイイ・・・・・・
サイズは40センチには少し届かなかったが、私は満足だった。
私はこの日、最高の宝物を手に入れたのだった。
こんな日はそうそう無い。
しっかり目に焼き付けておこうと、シャッターをいつも以上に切り、この魚をリリースしたのだった。
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