灼熱のサロマが牙を剥く~第25回サロマ湖100kmウルトラマラソン未完走記5(異変) | 神社仏閣旅歩き そして時には食べ歩き

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還暦を過ぎて体にトラブルが出始めて、ランニングを楽しめなくなりました。近ごろはウォーキングに軸足を移して道内の神社仏閣を巡り、御朱印を拝受したり霊場巡礼を楽しんでいます。いつかは四国八十八ヶ所巡礼や熊野詣をすることが夢です。by おがまん@小笠原章仁

 でもこのあたりから、私は体にある異変を感じ始めていました。喉の渇きがだんだん激しくなり、30km手前のエイドでは水をガブガブ飲みました。しかしそのあと、徐々に吐き気を感じるようになってしまったのです。


 胃袋は重く感じます。先ほどから摂取している水分が、吸収されずに胃の中に残っているように感じます。それが走っていると胃の中で動くので、どうにも気持ちが悪いのです。


 あれは3年くらい前の北海道マラソンでしたでしょうか。15kmを過ぎたあたりで吐き気を覚えたことがありました。そのときはペースを若干落とすことで吐き気も治まりペースを戻すことができました。今日もそれにならって、ペースを気持ちだけ緩めます。


 徐々に暑さは厳しくなってきますが、この次のエイドにはスイカがあるはずです。それを励みに走ります。


 いつしか、左足の小指が痛くなり始めます。どうも、爪が死に始めているようです。まあ、ウルトラを走ればいろいろなことがあります。足のトラブルは想定内です。


 ペースを抑えたことで、吐き気は少し治まってきました。まだまだ大丈夫。このあとスイカで息を吹き返せるはずです。


 待ちに待ったエイドにやってきました。まずはスポーツドリンクで喉を潤し、かぶり水を頭にかけ、そしてお目当てのスイカを両手に掴み、食べ始めます。これほど美味しいスイカにはなかなかありつけないな。そう思えるくらい、このときのスイカは美味しく感じられました。


 スイカで生き返った私は、走り始めました。ちょっとのんびりしすぎたかもしれません。でも、ここまではいいペースできています。多少はエイドでのんびりしても問題はないはずです。


 国道に出て35km地点に到達します。3時間50分49秒。この間の5kmは35分30秒と、かなりかかってしまいました。スイカを食べるのにかなり止まっていましたから、きっとそのせいでしょう。きっとそのはずです。


 35kmを過ぎると間もなく、長い上り坂が続きます。今までは、「上りは歩くぞ」作戦で乗り切ったポイントです。でも今年は、Qちゃんから教わった上りのフォームがあります。なるほど、やはり楽に足が前に出ます。一気にペースが上がりました。


 面白いようにペースが上がり、面白いように抜いていきます。でもこれも、今振り返ってみると、明らかにオーバーペースでした。楽に上れるのはいいですが、こんな序盤でこんなに頑張る必要はなかったんです。このあたり、すでに冷静な判断ができなくなっていたようです。


 上りを終えると、ペースダウンしてしまいます。


 激しい吐き気は治まっていますが、胃が重く感じます。出だしのエイドでは、水分は少しずつ飲んでいました。でも気温が上がってくるにつれて、喉の渇きも増しています。ついついごくごくと、2杯3杯と飲むようになっています。そんな摂取した水分が胃の中にたまり、吸収が追いついていないようです。水分の吸収が遅れているせいでしょうか、暑いのに汗の出方も少なくなってきました。これはあまりいいことではなさそうです。


 やがて芭露の市街地にさしかかりました。ようやくの思いでエイドにたどり着きます。ここでも水分補給と同時に、スイカをほおばります。2つ、3つと、どうしても手が伸びてしまいます。


 スイカでパワーをもらって、また先を目指し始めました。市街地を過ぎて間もなく40km地点を通過します。4時間25分18秒。この間の5kmは34分29秒です。序盤と比べるとペースが落ちていますが、エイドでの滞在時間も増えているので仕方ないところでしょう。この先、キロ7分のペースを守って70kmまで行ければ、そこから先のプランはたてやすくなります。


 間もなく、月見が浜に入ります。ところが、このあたりから体のキレが急激に失われます。明らかに全身から力が抜けています。脚が出ないなんていうなまやさしいものではありません。いったい何が起こったのでしょう?


 とりあえず、ペースを落として様子を見ることにします。ウルトラマラソンは波が必ずあります。苦しい時間帯があっても、耐えていればまたいい波が訪れるはずです。ようやくこのあたり、チェンジオブペースの重要性に思い至りましたが・・・。(つづく)



Let's Run with a Smile!